ますます”リア充化”するインターネット PCからモバイルへ、猫から犬へ
流行のネットサービスにもその変遷は見て取れる。1999年に開設された「2ちゃんねる」は、リアル社会の立場に関わらず匿名で交流でき、見知らぬ人と議論できた。04年スタートのmixiも当初、見知らぬ人と交流できる場だったが、徐々にリアル社会との接点を深め、10年ごろからは明確に、リアルな友達とつながるサービスだと打ち出していた。
06年にスタートし、09年に国内でブレイクしたTwitterは、匿名でも実名でも使えるサービス。11年ごろから国内で勢いを増したFacebookは、実名登録が前提。11年にスタートし、国内ユーザーだけで4000万に迫っているLINEは、電話番号を知っているリアルな友人同士のみでつながる前提で設計されている。
リアル社会が息苦しく、ネットでならひと息つけた非リアたちは、ネットに浸食してきたリアルに居場所を追われ、押しつぶされそうになっている。
時代の変化をとらえた「ニコ動」
非リアの時代とリア充の時代をまたぎ、両方に支持された希有なサービスの1つが、「ニコニコ動画」(ニコ動)だ。2006年に誕生した同サービスには当初、アニメやゲームオタクが集まり、「初音ミク」などのキャラクターを素材に創作活動にいそしむなど、匿名の“ネット人格”で楽しめるサービスだった。
だがその後、歌唱動画やダンス動画などを顔出しで投稿するユーザーが増え、“ニコ動の人気者”からメジャーデビューするなどリアルとの接点が増加。11年には東京・幕張メッセを借り切った巨大イベント「ニコニコ超会議」を開き、リアルの場に9万人のユーザーを集めた。
今のニコ動は、ネットからリアルに進出する場を提供しているのだと、先日筆者がITmediaで行ったインタビューで、ニコ動を運営するドワンゴの川上量生会長は話していた。
いわく、「今、大きな力を持っているのは、リアルの従属物としてネットがあるようなサービス。ネットがリアルにどんどん浸食されている。ネットで生きることとリアルで生きることを融合しないと、“ネットの人”の生きる場所がなくなってしまう。隔離された場所はどんどん狭くなっていくので、ネットを拠点として現実とつながらないと、幸せになれないと思う」。
ネットが非リアの楽園だった時代は過ぎ去った。非リアが非リアのまま生きる場は、ネットからなくなってしまうのか。
リア充こわい。
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