50歳、無職、アフロ女子の「おカネがない快感」 稲垣えみ子・セドラチェク ミニマリスト対談

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稲垣:たくさん消費できる人がハッピーだという考え方ですよね。つまりはおカネがあればハッピーだと。でも私は、おカネ、消費がなくなったら、みんな親切、というのが返ってきたんです。それからおカネというものをすごく考えるようになりまして、おカネじゃない資源というものが、限界のない資源だということに気づいて、そこにすごく希望を持てたんです。

おカネってなんだろう?

稲垣えみ子(いながきえみこ)/1965年、愛知県生まれ。一橋大学社会学部卒。朝日新聞社入社。大阪本社社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめ、2016年1月退社

稲垣:で、おカネってなんだと思いますか?

セドラチェク:4世紀の思想家のアウグスティヌスがこんなことを言っています。誰かに聞かれないかぎりは、自分は時間がなにかを知っているが、時間とはなにかと聞かれてしまうとわからない、と。

稲垣:む、難しい……。時間?

セドラチェク:時間だけでなく、おカネもそうだということです。経済学者に向かって、おカネとはなにか、聞いてみてください。そうしたら誰もが必ず崩れてしまう。魚は水の存在を知らないという話をご存じですか?

稲垣:あって当たり前の存在だから?

セドラチェク:魚は水から出ないかぎり、水を意識しませんよね。

稲垣:確かに。出たら苦しいから「水、水」って思うかもしれないけど、出なければ考えもしないでしょうね。

セドラチェク:だから経済学者はおカネのことは知らないということです。

稲垣:なるほど、長年の謎が解けました(笑)。

関係によりおカネは生まれた

セドラチェク:私にとっておカネとは非常に精神的なものですね。Nothing is there. But everything is there、そこには何もない、しかしすべてがある。おカネには非常に不思議な面があります。

稲垣:そう、おカネは本当に不思議! 今おカネがなくなったのでしょっちゅうおカネについて考えまくっているのですが、おカネを見ると、いつも『スター・ウォーズ』を思い出すんです。フォースにも、プラスの面とマイナスの面、「ダークサイド」がある。

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