瀬古チーム、駅伝参入は苦渋の決断か DeNAがヱスビー食品陸上部を受け入れ
瀬古氏のチームは、「箱根駅伝」で活躍した大学長距離界のスーパースターだった上野裕一郎選手(中央大学卒)や竹澤健介選手(早稲田大学卒)などを擁する有力チームながら、このご時世に受け入れ先を探すのは大変だったに違いない。
そして、瀬古氏は受け入れ先を確保するために、重大な方針転換をしたように見える。みずからのチームであるヱスビー食品陸上部としては、控えてきた駅伝への参入である。
ニューイヤー駅伝で優勝を目指す
「春田(真・DeNA)会長からは『駅伝は3年以内に優勝できますか?』と聞かれました。『はい』と答えるしかない」。瀬古氏は今回の舞台裏をこう明かした。DeNAが瀬古氏に望んでいるのは、箱根駅伝と並ぶ正月恒例の「ニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)での優勝」「五輪(オリンピック)でのメダル獲得」などだという。
このうち、駅伝はDeNAが企業イメージを向上させるために特に有効だ。抜きつ抜かれつの混戦、ごぼう抜きの大逆転、区間新の快走――。元旦の朝から5時間あまりにわたって全国のテレビを通じて生中継されるニューイヤー駅伝は、実況で企業名が連呼され、絶好のPR機会となる。
「私自身、駅伝は大好きなスポーツです。企業運営にも数多く通じるところがある」。DeNAの守安功社長も、会見でそう語った。DeNAがどこまでPR効果を狙っているかは分からないが、企業が従業員として選手を雇う実業団は近年、駅伝を最も重視している。