介護に非協力的な姉、相続で「差」はつくのか 趣味命で「自分の生活を犠牲にしたくない」

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「自分の生活を犠牲にしてまで金銭的援助や介助はしたくない」と話す義姉を変えられるか(写真:わたなべ りょう / PIXTA)

いつかは直面する親の介護問題。実の両親だけでなく、義理の両親の介護も必要となると、とても一人では背負いきれません。金銭の援助や身の回りの世話などを、兄弟間でうまく分担できないか。親の介護を放棄する義姉に悩んでいる方が、弁護士ドットコムの法律相談に投稿しました。

質問者のA子さんのご主人は、三人兄弟の末っ子長男。義姉のB子(長女)は、介護に協力的ですが、義姉(次女)のC子が問題です。C子は専業主婦で、自由な時間は趣味のボランティアに費やす日々。体力・時間・金銭にゆとりがあるにもかかわらず「自分の生活を犠牲にしてまで金銭的援助や介助はしたくない」と言い、実の親にもかかわらず介護に非協力的です。C子が参加しない分、A子さん、B子さんの負担が増えているのが現状です。

A子さんはというと、平日1日3時間パート勤務に加え、がんで寝たきりの実父の介護も手伝う日々。また、A子さんは「義理母は以前、私が病気で入院した際も手伝う事なく私を傷つけるような言葉を言うような人で、好意で介護するのも難しい」事情もあります。

「デイサービスやショートステイも利用していますが、C子の態度に納得いきません」と、不満がたまっているA子さん。介護や身上の世話は、法的にどのように義務が分担されるのか、C子さんの非協力的な態度は、後々相続などに影響しないのか、須山幸一郎弁護士に話を聞きました(以下、須山弁護士)。

日本には「介護義務」という規定はない

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

まず、日本の法律には、日常生活の「介護義務」という義務は存在しません。ただ、子の親に対する義務として、民法877条に親族間の相互扶養義務の規定があります。

この扶養義務は、いわゆる「介護労働」(親を引き取って同居したり、食事や排泄、入浴の手伝いなどの日常生活の世話をすること)の義務ではなく、経済的な援助義務と考えられています。

この義務は、経済的に余力がなくても義務者(扶養する側)と同程度の生活を被扶養者(扶養を受ける者)にさせることまでは求められていません。被扶養者が最低限度の生活を維持できない場合に、義務者に経済的な余力があれば認められる「生活扶助義務」とされています。

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