介護に非協力的な姉、相続で「差」はつくのか 趣味命で「自分の生活を犠牲にしたくない」

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相続人の1人が被相続人の介護をしなかったという事情が、遺産分割をする際に、法律上当然に考慮されるということはありません。遺産をどのように分割するかは、相続人同士の協議によって決めますので、協議がまとまれば、遺産分割の内容に反映することはもちろん可能です。

しかし、被相続人の介護をしなかった相続人(今回のケースではC子さん)について、C子さんの同意なく、当然に取得分を減らすということはできません。

「特別の寄与」に当たるかどうか

その一方で、A子さんが義理の母の介護を献身的に行ったとしても、A子さん自身は義理の母の相続人ではありませんので、遺産を相続することはできません。

ただし、A子さんの介護が、民法904条の2第1項の「特別の寄与」に当たる程度のものであった場合、A子さんの夫は、配偶者であるA子さんの貢献を自分の貢献とみなし、自身の寄与分(貢献による相続の上乗せ)として主張できると考えられています。

もっとも、親族間の扶養義務を履行したという程度では、「特別の寄与」とは認められず、原則として寄与分の主張は認められないでしょう。

須山 幸一郎(すやま こういちろう)弁護士
2002年弁護士登録。兵庫県弁護士会。神戸家裁非常勤裁判官(家事調停官)。三宮の旧居留地に事務所を構え、主に一般市民の方を対象に、法律相談(離婚・男女問題、相続・遺言・遺産分割、借金問題・債務整理等)を行っている。
事務所名:かがやき法律事務所

 

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