「METライブビューイング」の成功に刺激を受けた他のオペラハウスでも、ライブビューイングへの取り組みが始まっている。有名なところでは、フランスの名門「パリ・オペラ座」の参入。こちらはオペラとバレエの両ジャンルを映像で見せる点が特徴だ。さらにはドイツの「バイロイト音楽祭」で行われた、野外広場を使ったパブリックビューイングも話題になった。いずれにせよ、敷居の高いオペラハウスの扉が大きく開かれたことは、クラシックの普及を考えたうえで喜ばしいことこの上なし。
さて、本家本元の「METライブビューイング」は、すでに来シーズンのラインナップを発表している。2016―17シーズンは、ベルリン・フィルの芸術監督サイモン・ラトル指揮によるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」という注目作で幕を開ける。以降のラインナップは、モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」、サーリアホ「遥かなる愛」、ヴェルディ「ナブッコ」、グノー「ロメオとジュリエット」、ドヴォルザーク「ルサルカ」、ヴェルディ「椿姫」、モーツァルト「イドメネオ」、チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」、R.シュトラウス「ばらの騎士」の以上10作品。
「オペラを語れる大人」への近道
発表されている収録予定日を見ると、第1作の「トリスタンとイゾルデ」が2016年10月8日。そして最後の「ばらの騎士」は2017年5月13日となっている。つまり現時点における未来の映像を夢見ることが「METライブビューイング」の面白さでもある。ならば、収録予定日のチケットを購入して“生のステージ”も併せて堪能してみようかなどと考えてみるのも悪くない。そう思わせるところにMETの強さと、10年にも及ぶ継続の力が垣間見える。
ここまで読んで“何だ、せっかく興味を持ったのに秋のシーズン開幕まで体験できないのか”と思われた方々に朗報! この夏、東京と関西で「METライブビューイング アンコール上映」の開催が決定したのだ。東京の「東劇」では26作品。大阪の「なんばパークシネマ」では12作品。そして神戸の「109シネマHAT神戸」では7作品が上映される。“ワイン片手にオペラざんまい”の醍醐味をぜひご体験あれ。
オペラを映画館で見る!という21世紀型のエンターテインメントから当分目が離せない状況だ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら