プリンスは、単なる「偶像」ではなく「伝説」だ

ボウイ、プリンス、ハガードが音楽界を変えた

2006年のテレビ番組「アメリカン・アイドル」でパフォーマンスを披露するプリンスさん(写真: ロイター/Chris Pizzello)

プリンス、デビッド・ボウイ、マール・ハガード。2016年に入って音楽界の巨人3人が世を去った。ハガードが亡くなったとき、米ナショナル・パブリック・ラジオは「カントリーミュージックの伝説にしてアイコン、79歳で死亡」と評した。伝説とアイコン(偶像)という2つの言葉はしばしば同列に扱われるが、本当にそうだろうか? 違いはないのだろうか?

多くのエンターテイナーが偶像と呼ばれる。その最たる例はブリトニー・スピアーズだ。しかし、最近亡くなったこの3人のミュージシャンは異なる領域に存在するように見える。いずれもアーティストとして天才だっただけではない。私たちの文化、そして私たちの世界が、彼らの存在によって異なったものになったのは事実である。

偶像は私たちが誰であるかを示すことができる。しかし、伝説は私たちが誰になれるかを示す。

幅広い楽器の演奏を独学で身につけた神童プリンスは、自身の音楽で大胆にもエロチックなテーマを探求した。彼は新たなスタイルで、肌の色が異なる米国人を演じた。セックスシンボルでもあったこのミュージシャンは、紫のシルクとダイヤモンドでその女性的な側面を披露しつつ、演劇風の公演を行った。

社会正義を追求したプリンス

プリンスは、前代未聞のスタイルを創造し、ポップ、ファンク、ブルース、ジャズ、ロックンロールをブレンドした。音楽業界での独自のルールを定め、音楽から映画へと活動の範囲を広げた。彼の歌はあからさまに卑猥であり得るが、精神的な地平に情熱をもたらすこともできる。エホバの証人に傾倒してポップの伝統を断ち切り、メシア風の「I Would Die 4 U」など、自身の歌に頻繁に宗教的なモチーフを含めた。

哲学者でもあるプリンストン大学のコーネル・ウェスト教授は、プリンスが強い社会意識に基づいて、抑圧への反乱と社会の最も弱い者の保護を、自身の芸術に注ぎ込んだ、と指摘する。

次ページ不正に抗議する姿勢はボウイにも共通していた
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 北朝鮮ニュース
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 離婚のリアル
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
進撃の商社<br>純利益1兆円への野望

資源価格の反発で総合商社の業績は絶好調、非資源での新規ビジネス創出にも余念がない。純利益1兆円突破への期待も出てきた今、商社の実力を総点検する。5大商社のトップがそろい踏み、「人材編」にはイラストで各社のキャラ解説も。