哲学が人類を「幸福にしない」これだけの理由

大学から哲学科が消えるのは由々しき事態か

哲学を「ひねりつぶそう」とする動きは、ソクラテスの時代からありました(写真:imagIN / PIXTA)

連載をしばらくお休みにしていましたが、今月から再開です。これを機に、テーマは狭い意味の哲学に限らず、もっと広げていいのではないか、とくに社会、あるいは世間がいかに哲学を「嫌うか」というテーマを追及しようと思い立ったのです。

これは、ずっと昔(1995年)に『哲学の教科書』(講談社学術文庫)に書いて以来の私のテーマです。世間は一応哲学を「崇めるふり」をしながら、じつのところちっとも尊敬していないこと、いや、無視するならまだしも、実生活とぶつかり始めるや否や「ひねりつぶそう」と全力を傾けることです。

息子や娘が「哲学をしたい」と言い出すと…

この連載の記事一覧はこちら

日ごろ「哲学はやはり生活に必要ですなあ」とか「もっと哲学を取り入れなくっちゃ」と余裕をもって語っている男女(とくにインテリ)でも、いざ息子や娘が「哲学をしたい」と言い出すや、血相を変えて、「そんなことで生活ができるのか!」とか「お願いだから、もっとまともなことをして!」と恫喝し、哀願する。私の場合もそうでした。私が法学部をやめて哲学がしたいと告白するや、父は軽蔑的まなざしを私に向け、母は「自殺するんじゃないのよ」と慌てふためきました。

じつはこれは、ソクラテスのころからそうだったのです。ソクラテスは70歳で告発され処刑されますが、その罪状は①ポリス(都市国家)の神を尊重しないこと、②青年を誘惑していること、でした。

ということは、ポリスという世間は、ソクラテスが実践していることすべて、すなわち、(ほかに何のためでもなく)ただただ真理を愛すること、そして、全生活をそれに染め上げることですが、このすべてが気に入らなかった、いや、きわめて危険だと感じ、抹殺したのです。

次ページ哲学には「客観的な知」などない
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 若者のための経済学
  • 本当に強い大学
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • インフレが日本を救う
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
ビジネスに効く<br>最強の健康法

現代人の大きな悩みである健康。多忙なビジネスパーソンのため、すぐに実践でき即効性がある健康法を厳選。糖質制限簡易版に加え「ゾンビ体操」「これだけ体操」を大きなイラスト入りで紹介。健康経営、健康ビジネスに踏み出す企業も満載。