「持たざる者」がシェアエコノミーを生んだ 21世紀のイノベーションの「光と影」

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またミレニアルズはこれまでのどの世代よりも、旅行をする世代と言われています。旅行離れが言われる日本の若者とはここは対照的なのでしょうか。

ボストンコンサルティングによれば、旅に興味を持っているミレニアルズは他の世代に比べ23%多くなっています。またリサーチ会社フォーカス・ライトの調べでは、7割のミレニアルズが2013年に最低でも1回はレジャーで旅行したと答え、同じく7割が旅は人生の重要な要素としています。

特に海外旅行に積極的で、世界青年学生教育旅行連盟の調べでは、2020年までに若者の海外旅行の件数は 3億2千万回に上ると予想され、これは2013年の2億2千万回と比べ約5割増しとなる、と予測しています。

自分だけのオリジナルの体験や発見を求めている

一方ミレニアルズは他の世代よりも、旅に自分だけのオリジナルな体験や発見を求めています。パッケージツアーでなく、ネットを駆使して集めた情報で秘境に行ったり、自分だけの文化体験を求めています。また旅行中、旅行後にその体験をネットに上げ、他人があげたレビューなどの情報を自分の次の旅のプランの参考にしているのは言うまでもありません。

また興味深いのはこの調査です。若者のための旅行情報サイトであるヒップマンクの調べでは、ミレニアルズは他のどの世代よりも「ビジネストリップ=出張」をし(33%)、それもホテルではなくエアビーアンドビーなどで宿泊代を浮かせる(74%)、その代わりに仕事以外のプライベートの時間をプラスする(80%)というビレージャー(beleisure、ビジネスとレジャーをミックスした造語)を志向しているといいます。前回記事でお伝えしたワーク・ライフ・インテグレーションがここにも反映されています。

モノを所有するのではなくアクセスする、そしてアクセスを通した豊かな経験というのが、ミレニアルズの消費の大きな潮流と言えるでしょう。

しかし、彼らがモノを買わないかというと決してそんなことはありません。

次回はミレニアルズがいったいどんな動機でどんなモノを買っているのか、どんなブランドを支持しているのかをお伝えします。

 

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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シェリー めぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター

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横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

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