大排気量エンジン車はもはや「絶滅危惧種」だ 時代の趨勢でもクルマ好きにはたまらない
いま、どんなクルマが“恐龍”なのか。セダンでは、6リッターを超えるV型12気筒エンジンを作るロールスロイスが筆頭に挙げられる。
今、“恐龍”と呼べるクルマ
ベントレーも6リッターのV12(ベントレー的にいうとW12)気筒を持っている。ともに、かなりよろしい出来のセダンだ。メルセデスAMGの“65”シリーズはV型12気筒。こちらはターボチャージャーがついていて、とてつもないパワー感だ。
16気筒のブガッティは特別すぎる存在として、スポーツカーでは、12気筒エンジンを伝統的にフロントに搭載するフェラーリがすぐに思い浮かぶ。
アウディは6.3リッターV12を搭載するセダンA8も、5.2リッターV10を搭載するスポーツカーR8もラインナップに揃えている。BMWも久しぶりに12気筒を搭載した7シリーズの発売を予定している。
V型8気筒となると、キャディラックにもあるしレクサスにもある。その数はかなり多い。ただし市場での位置づけは“微妙”という説もある。「V8はまったく人気がない」。先日会ったイタリアの高級車メーカーの広報担当者はそう言いきっていた。「もちろんファンはいますが、中途半端なんです。ふつうに使うならV6で十分。特別なモデルが欲しければV12がありますから」。
それにしても大排気量エンジン。太平洋クロマグロと似ているかもしれない。生物の絶滅の恐れがある野生動物を評価したレッドリスト(国際自然保護連合)に載っているし、水銀汚染も指摘されている。食べるべきではないと頭でわかっていても、寿司屋で大トロを口に入れたときのしびれるような快感は捨てがたい。
大排気量エンジンも一部の食材と同じで、早晩、ごく一部のひとだけが乗れるスーパースペシャルなクルマにのみ搭載されるようになるだろう。いたずらに燃料を消費しCO2をまき散らすのは当然「STOP」だから、ごくわずかな人の楽しみに限定されるのは仕方のないことなのだ。それでも諦めきれないのは、食いしんぼ、でなかった、クルマ好きだからである。大排気量のマルチシリンダーエンジン。「GO」といえないし「STOP」ともいいにくい。開き直って言ってしまえば、これがクルマなのだ。
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