大排気量エンジン車はもはや「絶滅危惧種」だ 時代の趨勢でもクルマ好きにはたまらない
背景にはここでも触れてきたように、欧州のCO2規制がある。走行キロあたりのCO2排出量を(ラインナップで平均して)95グラム以下に抑えない場合、台数あたりの制裁金を科せられてしまうのだ。スポーツカーといえども燃費を考慮してエンジンを小さくするのは、企業の浮沈という観点からも避けられない時代の趨勢といえる。
「そこにこそ自分たちの存在理由がある」。そう言うのはランボルギーニだ。
スポーツカーでも高効率化が避けられない昨今
スポーツカーでも高効率化が避けられないのが昨今だ。そこにあって、がんばっているメーカーのひとつがランボルギーニだ。この場合、“がんばっている”とは、大排気量・多気筒をあきらめていないという意味である。
僕は先日、ウラカンLP580-2なる最新車種にたっぷりと乗る機会があった。名人の手になるオリガミにもたとえられる、エッジの効いたラインで構成されるスタイリッシュなボディに、5.2リッターのV型10気筒エンジンを搭載。427kW (580 馬力)の最高出力と540Nmの大トルクが売り物だ。
「ランボルギーニの生き残り策は?」。僕はランボルギーニのひとたちと夕食を一緒に食べる機会を与えられた。そこで、“このオーストラリアのピノノワール(赤ワイン)の刺激は強いけれどいまひとつだね”などと言っているイタリア人に、この質問をしてみた。すると、中部イタリアのサンタガタにある本社からやってきた開発担当者は「大きな排気量のエンジンでNA(ノーマルアスピレーション=ターボチャージャーなし)であることも重要ですね」と答えてくれた。
たしかにライバルをみると、フェラーリといえどもターボ化を進めているし、先に触れたポルシェをはじめマクラーレンなどのライバルは、プラグイン・ハイブリッド化に熱心だ。ホンダの新型NSXもそこに含まれる。
ランボルギーニだって、2014年にCEOみずからプラグイン・ハイブリッドモデルの発表をしたのだけれど、市場を見ていて、ノンターボの大排気量エンジンでもうすこしやっていける、と判断したのだろうか。最近のターボエンジンはとてもよく出来ていて、どこからターボが効き始めるかわからないぐらい設定が巧妙だ。それでもノンターボの大排気量エンジンの、鋭くエンジン回転があがっていき、そのときにパワーがぐんぐん増していくかんじは、ほかに対抗できるものがないぐらいだ。
いま、どんなクルマが“恐龍”なのか。