安倍首相は、パンドラの箱を開けるのか?

日中韓で新リーダーが誕生

韓国での報道:安倍氏が開ける、パンドラの箱

韓国では、日本の右傾化を警戒しており、『朝鮮日報』は今回当選した衆議院議員の91%が改憲を支持し、72%が軍隊保持を禁止する憲法9条見直しに賛同しており、34%が核武装を検討すべきと考えているとの日本の新聞の引用を大々的に伝えている。

そして安倍新総理の二段階改憲戦略として、改憲世論を盛り上げる世論戦略を展開しつつ、憲法9条への反対論も強いため、まずは改憲要件を衆参両院の3分の2から2分の1に緩和する。専門家はこれを「パンドラの箱を開ける」と表現し、この緩和により戦争禁止や軍隊保有を禁止する9条が変えられると報道している。

また韓国の新聞は、安倍総理がオバマ大統領との1月の会談で、勃興する中国を牽制するためにも集団的自衛権への理解をオバマ大統領に求めるだろうし、アメリカが第三国から攻撃されたら日本も一緒に攻撃できるようにすることはアメリカの利益にもかなうと主張するのではないか、と指摘している。

公明党と自民、分裂の可能性。靖国参拝は来年の秋?

他方、中国新華社通信(国際版)は19日付で、安倍氏の当選に際し、以下のポイントを大々的に報道している。

・安倍氏が憲法改正の要件を大幅に緩和し、衆参3分の2ではなく衆参過半数に変えようとしており、憲法改正に加え集団自衛権の解釈を変え、国防軍設立を可能にしようとしている(このポイントについて、シンガポールの新聞は、安倍政権の動きは中国の敏感な神経を逆なでし関係悪化が懸念されると報道)

・与党の連立事情にも詳しく、連立を組んでいる公明党が自民党の右傾化を心配している。また憲法をめぐる根本的な同党支持層の違いもあり、自民が維新の会と近づき、早晩自民党との関係が悪化するだろう。

・新首相は参院選での得票のために、尖閣諸島に公務員を常駐させ中国や韓国との摩擦を拡大させかねず、靖国参拝に関して本人は態度を明らかにしなかったが、その周囲の話によると(参院選への影響を避けるため)参拝するにしても来年の秋であろう。

・安倍氏は小泉氏がアメリカのブッシュ大統領との親密関係を盾に靖国参拝を強行した“成功体験”を官房長官として見ており、それをまねする可能性がある(ちなみにオバマ大統領からのお祝い電話の後に、間違ってブッシュ大統領と口にしたことまでご丁寧に中国で報道されていた)

そして最後に、安倍氏は中国が尖閣諸島で強硬な態度に出るのは「普天間基地の問題で鳩山首相が日米関係を毀損したのに中国がつけ込んでいるためだ」と思っており、前政権時にアメリカ、インド、オーストラリアと関係を強化し中国の野心をくじくと公言した人物である、と警戒を交えて結ばれている。

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