安倍首相は、パンドラの箱を開けるのか? 日中韓で新リーダーが誕生

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実は、対立候補であった文在寅氏については、「国際経験が豊かではない」として、外交上のバランス感覚に不安を覚える人もいた。実際、私が話した盧武鉉政権下で文氏と共に働いた人物は、「敵対する政党の候補である朴候補の方が外交は上手くやれるだろう」とおっしゃっていた。この意味で伝統的に親米・親日の保守派の流れをくむ朴候補が新大統領に当選したことは、外交面では日米にとって組みしやすくなったと言えよう。この機会を日本にはぜひ活かしてほしい。

伝統的に対北強硬策で知られた与党だったが、国民の批判もあり、朴大統領は南北間の相互依存度を高め、北朝鮮、中国、日本の北東アジア各国との信頼感の強化に努めるとしている。なお中国と米国はどちらか片方を選ぶのではなく、米国は全面的な同盟関係で中国は協力するパートナーだと評している。

また北東アジアの和合のためにも戦争の傷跡が残る慰安婦問題に対し日本が責任ある態度をとることで北東アジアの和合が進み、EUを超える堅牢で緊密な関係ができると主張している。これは盧武鉉大統領も李大統領も就任当初、歴史問題では、日本の自主的対応に期待するとして日本側のメンツに配慮したが、解決どころか河野談話の否定が保守政治家により推進されたため国内世論が強まり、やむを得ず強硬路線に舵を切ったという経緯がある。

安倍氏に対する海外メディアの警戒度は高い

アメリカのアジア重視戦略の中で、マイケル・グリーン氏も主張していたように、日韓の緊密な連携はアメリカの北東アジアにおける国防戦略と国益にとって非常に重要である。

安倍氏が歴史修正で過激な政策に走らないかアメリカも心配しているが、アメリカとしては、オバマ大統領と李明博大統領の間で緊密な関係が築かれていた、与党セヌリ党のほうが戦略的に都合がよかったであろうし、今後の日韓連携強化に期待しているであろう。

中国で新たな国家主席に就任した習近平氏は対日強硬派の江沢民氏の直系であり、近隣諸国との領土紛争のエスカレートを指導してきた一人だとも目される。実際今月初頭の演説でも中国軍のさらなる強化の夢、強い軍隊を持つ強い国になるとの決意を表明していた。

日本・韓国・中国の北東アジア各国は新指導部体制下での雪解けが期待されていたが、結果的に、伝統的な日米韓の緊密な連携が予想される形で2013年に突入することとなった。しかしこの構図も安倍氏の失政一つで簡単に瓦解する可能性がある。

中国の外交部は安倍氏の当選直後に、日本が穏健で平和な政策を取りアジア地域の安定に貢献するのを望む、との談話を出した。韓国も日韓関係改善を望んでおり、日本は重要な隣国で戦略的に協力できることが多いとの談話を発表している。

国際社会が日本との関係悪化をエスカレートしたくないと考えている中、安倍氏の施政方針に関し海外メディアの警戒度は高い。そこで参考までに、衆院選後の日本に関する現地新聞の報道内容を日本語に訳してみた。正確さに問題があればお詫びするが、大意は次のようなポイントである。

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