キャリア自律を促進する「博報堂大学」

人材育成理念を中馬淳・人材開発戦略室室長に聞く

 「生活者発想」と「パートナー主義」

――「博報堂大学」の具体的な中身について教えてください。

基本的な構造は、入社後7年目までの「構想ベーシックス」があり、次に「ビジネス構想プログラム」という階層が乗り、さらにその上に「イノベーション構想育成プログラム」があるという3層構造だ。この基本プログラムに加えて、外部講師を招請して話を聞く課外授業のような「構想サロン」というプログラムもある。

ただし、必修にしているプログラムは入社5年までだ。その後の研修はほとんどが手挙げ型研修になる。例外はデジタルプログラムとグローバルプログラムであり、この2つは指名制も多くなる。

1年目からの研修を順番に説明しよう。博報堂の新入社員は毎年100名ほどだが、全員が連休明けまでの新入社員研修を受ける。その後は職種別に分かれて研修を受ける。トータルで2~3カ月の研修を受けた後に職場に配属される。1年目の11月と3月には振り返り研修が行われる。

2年目からが「構想ベーシックス」に入り、2年目社員はアイデアを出す研修を受ける。3年目はコピーライティングとメディアを学ぶ研修を受け、4年目はビジネスデザインを学ぶ。そして5年目にはエンゲージメントリング(ER)研修を受ける。ERは博報堂のプランニングメソッドを指している。これで必修の研修は終わる。

これらの研修は、博報堂社員として必要な基礎知識を学ぶと同時に、博報堂Wayを身につけることが目的だ。博報堂には「生活者発想」と「パートナー主義」という2つのフィロソフィーがある。フィロソフィーや企業理念はお題目になりがちともいわれるが、博報堂では社員に深く浸透している。

――どのような研修なのでしょうか?

コピーライティング教室を例にとって説明しよう。この研修はモノの見方を学ぶという目的で、コピーライティングの専門家を講師にして、4回コースで実施する。

座学で聴くだけでなく、実際にコピーを作る。1回の研修後に次週までの宿題が出る。あるテーマについて30本なり、50本なりのコピーを作るという宿題だ。それをプロが次回の研修までの1週間で審査、添削する。受講者にとってはかなりきつい宿題だ。

受講するのは、クリエーターだけでなく、営業職も本社スタッフ職も含めて全員だ。なので、下手なコピーを作れない、という意味でいちばん強いストレスにさらされるのは、クリエーティブ部門に配属されている社員かもしれない。このコピーライティング教室の効果は大きい。1回目と4回目ではコピーのレベルがまったく違ってくる。

――「構想ベーシックス」と若手人材の職位は連動しているのでしょうか?

博報堂では入社後7年間をアソシエイトロールという育成期間として位置づけている。それに対応するのが「構想ベーシックス」だ。そこから先は、スーパーバイザー、プロフェッショナルと職位を上げていくことになる。

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