あなたのスマホがサイバー犯罪に狙われる FBI捜査官が明かすサイバー犯罪のいま(上)

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決済用のカードも違う誰か、第三者の人物のものを搾取して、それが使われているというケースが多い。しかも犯罪者そのものはコードを書くところから、こまかな犯罪の全側面に至るまで、世界各地に点在しながら、犯罪を仕掛けるのが、いまや当たり前。つまり、一国だけで一から十まで捜査できず、強力な国際協力が必要なわけです。やはり各国がいかに情報を共有化することができるか、共同で捜査することができるかというカタチを模索しないかぎり、捕まえることは難しい」

捜査当局の国際協力は着実に進んでいるようだ。そして、そのネットワークが捜査の武器にもなっているという。

求められる捜査の国際協力

FBIのマイケル・マキューン氏

FBIのマキューン氏は国際協力の意義をこう説明する。

「日本の警察当局の方々とは、トレーニングなどを通じ個人的な交流ができた。お互いの条約や法律を尊重しつつ捜査を進めるが、何かあったときに、面識のある人が電話の向こうにいること、これは大きい。

捜査官としても、こういったコネクション、あるいはネットワークは、大変重要で、私自身ももっと拡充していきたいと思う。ある地域で犯罪が発生した場合、ほかの地域でも蔓延する可能性がある。いち早く情報をキャッチする機会になる」

サイバー犯罪は、犯罪者が国境を越えてボーダレスに活動するため、発生した犯罪も地球レベルで蔓延してしまう怖さがある。捜査当局の国際協力は、さらに重要性を増しそうだが、何か国境を越えて捜査した事例はあるのだろうか。

ユーロポールのオッス氏は、その点についてこんな意見を述べた。

「ヨーロッパでは、すでに法的な枠組みで、共同捜査チームの立ち上げが可能になっている。違った国の捜査官が一緒になって、一つのグループとなって捜査する枠組みがヨーロッパで定められている。どんなマルウェアでも、どんな銀行への攻撃であっても、たどっていくと必ず米国にひもづいてくる」

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