驚くほど鮮明な映像!監視カメラの最前線 NECが最新技術を披露

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警備や犯罪の捜査などに幅広く使われる監視カメラ。その技術革新が進んでいる。

NECは12月5日、「24時間広域映像監視システム」や「流通業向けの商品センシング(計測)システム」といった最新技術を初めて公開した。

「24時間広域映像監視システム」は、監視カメラなどから入力された映像をリアルタイムで解像処理し、より鮮明な映像で監視できるシステムだ。

世界初のリアルタイム処理

「リアルタイムで処理できる」というのが世界初であり最大のポイント。つい2年前は、同様の解像処理に250時間ほどかかっていたというから驚きである。夜間の場面では、映像を明るくする際のノイズを除去。霧や雲りなど悪天候の場面でも、映像のコントラスト低下を改善することで、すぐさま見やすい画像に処理する。また、映像の内容を認識し、従来に比べて約3倍広いエリアを自動で監視することができる。

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若干見づらいが、左が高感度カメラでとらえた映像。これをリアルタイムで処理し、右の鮮明な画像に変換する。実際には真っ暗な夜間のシーンだ。

空港やプラントなど、多くの人が集まる大規模施設はもちろんだが、街頭カメラを活用することで都市全体を監視することができる。捜査目的をはじめ、テロや犯罪の防止にもつながりそうだ。

もう一つの技術である、流通業向けの商品センシング(計測)システムの画像認識技術では、カメラで撮影するだけで大量の商品管理情報をデータ化し、従来困難だった100個以上の商品を一度に識別することができる(世界初)ようになった。

また、シート上のセンサーを設置することで、「客が商品を一度手に取り、その後戻した」という動きもとらえることが可能だ。POSレジはあくまで販売時点でのデータだが、同システムを活用すれば、「顧客にどれほど注目されているか」といった販促効果を検証することができる。こちらはコンビニや大手スーパーなどで試験的な採用が見込まれている。

江村克己所長

現在、NECの研究所は国内700人、海外250人体制で研究を重ねている。予算は研究開発費の10%程度という。R&D戦略や研究内容などを解説した執行役員兼中央研究所長の江村克己氏は「企業内の研究所であっても世界一であることが必須。分野を絞ってでも世界一の技術を目指す」とし、「今後は海外の研究拠点との協力、連携を進めていく」と話した。近年、半導体やパソコン事業などの非連結化を進めてきたNEC。研究所も、研究テーマや求められる役割は大きく変化しているようだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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