小林麻央さんの乳がんはどれだけ深刻なのか 発見から1年8カ月、手術していない理由とは
歌舞伎俳優・市川海老蔵さんの妻でフリーアナウンサーの小林麻央さんが進行性の乳がんを患っていることがわかりました。市川さんが6月8日に会見を開いて明らかにしたもので、市川さんは小林さんのがんの詳しい進行具合については明らかにしませんでしたが、報道陣の質問には「比較的深刻。かなり(進行の)スピードが速い」「(現状は)手術をする方向に向かって、抗がん剤治療を行っている」などと答えています。
乳がんは女性における部位別の罹患数(がんと診断される数)が最も多いがんとして知られています。
■2015年に新たにがんになった女性の数
- ・乳がん 8万9400人
- ・大腸がん 5万7900人
- ・肺がん 4万2800人
- ・胃がん 4万2200人
- ・子宮癌 3万人
(国立がん研究センター調べ)
一方で、大腸がん、肺がんなどよりも死亡に至る患者が相対的に少ないがんでもあります。
■2015年にがんで亡くなった女性の数
- ・大腸がん 2万3400人
- ・肺がん 2万1900人
- ・胃がん 1万7000人
- ・膵臓がん 1万6200人
- ・乳がん 1万3800人
(国立がん研究センター調べ)
本来、乳がんは早期発見で適切な治療を行えば、大腸がんや肺がん、胃がんなどの深刻ながんに比べると怖いがんではありません。しかし乳がんにおいては、この「適切な」治療という点に難しさもあります。それは「乳房を温存するか」「全摘出するか」という2つの方法があるからです。拙著『がんにならないのはどっち?』(あさ出版)でも触れていますが、乳がんの治療で「温存」と「全摘出」とでは、どのような違いがあるかについて解説します。
「温存」か「全摘出」か
実は、がん治療にかかわる医師にも温存派、全摘出派がいて、受診する病院や担当医師によって、その意見が変わることもあります。最近の傾向では、全摘出する患者さんが増えているようです。これは温存手術のデメリットにスポットが当たってきているからでしょう。
温存手術には「がん腫瘍だけを取り除く」「腫瘍の周辺を含めて取り除く」という2種類の方法があります。後者より前者のほうががん細胞を取り残す可能性は高いですが、後者についても取り残す可能性は十分にあります。この「がん細胞を取り残す可能性がある」ことが温存の大きなデメリットの1つです。
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