「抗がん剤の是非」を巡る論争は、不毛である がん患者にとって一番大事なものは何か
もし、あなたや、あなたの大事な人が、抗がん剤治療を勧められたら、どう思うだろうか。
抗がん剤というと、髪の毛が抜けてしまう、ゲーゲー吐いてしまうなどのきつい副作用のイメージが強い。最近は、副作用を軽減する治療が発達したとはいえ、つらい治療であるのは間違いない。
医師は悪魔ではない
つらいだけであれば、それは「悪魔の薬」であり、患者さんを苦しめるためにそんな薬を使う医師がいたら、それは悪魔だ。だが、多くの医師は、悪魔なんかではない。患者さんにプラスになると考える場合に限って、抗がん剤を使っている。
抗がん剤をうまく使うことができれば、使えば使うほど、がんの症状がやわらぎ、患者さんは元気になる。もし、使えば使うほどつらくなり、何もいいことがないという場合には、その治療をやめた方がよいだろう。
抗がん剤に限らず、すべての医療行為には、利益(ベネフィット)と不利益(リスク)があり、リスクがあっても、それを上まわるベネフィットがあれば、その治療を行う意義がある。
重要なのは、リスクとベネフィットのバランスであって、どちらかだけを強調するのは適切ではないが、抗がん剤は、その激烈なイメージゆえに、両極端なとらえ方をされることが多いようだ。
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