「留職」とは? パナソニックに起きた熱の伝播

ベトナムで見た、ものづくりの底力

また、この経験を山本さん一人にとどめず、リモートチームのメンバーで共有できたことは非常に大きかったようだ。留職を終えたメンバーたちから口々に出たのは、「こんな面白い人たちが社内にいたなんて知らなかった」という言葉だった。

留職を通じて「仲間」となった5人のチームメンバー

現在彼らは、留職をきっかけにして考案した新企画を社内に提案したり、日本でソーラークッカーを作っている企業があると聞いて休日返上で視察に行ったりと、引き続き積極的に行動を起こし続けている。

原体験を共有することで、彼らは「仲間」になったのだと思う。「今回の経験を基に会社をもっとよくしていこう。この仲間たちとならきっとできる」。そんな希望が、静かに生まれている。そのことが、僕には何よりもうれしい。

日本企業に広がる留職の取り組み

パナソニックでの事例で、留職という事業が、予想をはるかに超える変化を個人と組織にもたらすという、確かな手応えを感じることができた。そして、ありがたいことに留職を導入する企業は少しずつ増えつつある。13年1~3月には、日本企業6社から10人ほどの社員がアジア新興国へと旅立つ予定だ

たとえばテルモの研究者は13年1月からインドネシアの医療系NGOへ。医療機関のオペレーション改善に取り組みながら、新興国の医療現場の実態を学ぶ。また、同月にベネッセは社員をインドの教育分野で活動する社会的企業へ。貧困地域の学校向けの教材提供事業に貢献しつつ、インドでの事業機会を検討する。その後も2月・3月にはパナソニック・日立製作所・NECが続く。こうした企業の取り組みは、本連載でもまた詳しくリポートしたいと思う。

まだまだ始まったばかりの留職の取り組みではあるが、起業してから話をしてきた多くの企業から感じるのは、今、日本社会が活力を取り戻すためには、何か新しいチャレンジをする必要があるという危機感だ。僕たちは、そうした人たちの思いを心から応援したいし、留職を通じて思いを行動に変えるお手伝いを、少しでもできればと思っている。ぜひ一緒に、もっともっとニッポンを熱くしていきましょう!

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