「留職」とは? パナソニックに起きた熱の伝播

ベトナムで見た、ものづくりの底力

一人の挑戦が、会社を挙げた取り組みへ

12年2月、山本さんは約1ヵ月間の留職のためベトナムへと渡った。しかし彼は初日から、想像を超える苦労をすることになる。言語の違いはもちろん、コミュニケーションの取り方、仕事の進め方も日本の常識が通じない。欲しいものがあっても簡単に手に入らない。これは大変だと感じた。

そんな山本さんを動かしたのは、現地のNGO職員たちの熱だった。彼らの長年の苦労の跡と、日々努力する姿に影響を受けながら、山本さんは現地のやり方を吸収し、工夫し、現地の人と同じ目線でともに汗を流した。「考えるだけでなく、とにかく行動する」ことの大切さをNGOのリーダーから学び、山本さんは、気がつけば、これまでにないくらい必死になって仕事に打ち込んでいた。

現地の家庭を訪問してインタビューを行う山本さん

しかしながら、改良に取り組む製品は10年以上の努力と創意工夫の結晶。日本の大企業でキャリアを積んでいるとはいえ、山本さんが短期間で改善することは不可能とも感じられるような作業だった。

そこで支えになったのが、日本にいるリモートチームの存在だった。山本さんは現地でぶつかった課題をチームで共有し、スカイプで毎晩のように話し合った。それでも解決できない課題は、プロジェクトに賛同する社内の人たちが参加するfacebookページで解決策を募った。するとさまざまな専門性を持つ多くの参加者たちから、次々とアドバイスが寄せられるようになった。

山本さんの留職は、部署を横断し、会社を挙げてベトナムの起業家をサポートするプロジェクトへと進化していったのだ。

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