上場廃止したチムニーが再上場した真意 和泉社長に聞くMBOの功罪
MBOするに当たっては何が目標がしっかりしていればいい。山の登り方はいろいろあるが、頂上に達するということが大切だ。お互いに考え方が違うのは当たり前の話。チムニーは親会社が常に変わってきた。
ジャスコから米久に移ったときもそう、キリンビールから米久に社長を送り込まれたときもそう。三菱商事出身者が来たときもそう。カーライルが新しい株主となったときもそうだが、敵対意識を持たず、言われたことをやってみようとなる。そういった意味では経営改革がやりやすい企業だったかもしれない。
――MBOした時点で上場を維持するという選択肢はなかったのか。
なかった。
自衛隊食堂の受託に成長期待
――今後の成長戦略は何か。
居酒屋事業で売上高800億円、コントラクト事業で200億円、1000店舗で合計1000億円の売上高を目指す。18年には達成したいが、数年は前倒しするように社内にハッパをかけている。
特に自衛隊基地や施設内にある隊員向け食堂の受託(コントラクト事業)は極めて順調に立ち上がっている。今まで自衛隊弘済会や地元の業者がやっていたのが、規制緩和の流れで民間企業にも受託のチャンスが広がってきた。こういったコントラクト事業を拡大するには仕入れ力とメニュー開発力が必要で、チムニーは居酒屋事業でこういったノウハウを持っている。
12年4月には防衛省から84施設を一気に受託した。値段を1割安くして、食事のボリュームを1割増やすこと、そして弘済会従業員の雇用を引き継ぐことが条件だった。看板と制服を変更したり、現職従業員の雇用を引き継いだりしたが、その際にかかった費用はわずか3000万円だった。
実は3~4年前からこういった防衛省向けのコントラクト事業を水面下で進めていた。上場していれば具体的な受注動向を開示しなければならず、その点でも未上場だったから進めることができた。
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