上場廃止したチムニーが再上場した真意 和泉社長に聞くMBOの功罪

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両国駅に隣接する「はなの舞」(チムニー本社に併設)は500席を超える超大型店で、店内には土俵もある。

今回、防衛省からは80カ所以上受託したので、だいたいビジネスの概要が見えている。今回のように朝鮮半島でミサイル発射問題が出てくると宴会は全部中止になって収益的にきつい。高官が(その施設に)やって来たときも宴会は中止、販売価格を上げるには申請が必要といった独特のルールがあるが、そういうことを除けば大きなリスクはなく、収益性は居酒屋に比べてほとんど変わらない。13年4月にはさらに68カ所について入札がある。ここについても受託を狙っていく。

――M&A(企業の合併や買収)についても意欲的だ。

今後は業容拡大で買収に乗り出す。再上場前はチマチマしたM&Aを2件やっただけだが、今後はそこそこの案件を実施しないと1000店舗・1000億円にならない。われわれが勝ち抜くためには、1年以内に大きなM&Aを実施することが必要だ。

「俺のイタリアン」のような店にもチャレンジ

現在は「はなの舞」など海鮮系居酒屋がドーンとあるのでさらに水産を上乗せする気はない。「俺のイタリアン」(ブックオフ創業者の坂本孝氏の経営するバリュークリエイトが展開する、著名な立ち飲みイタリアン)みたいに、ほかにジャンルのない調理に強い業態やファミリーレストランなどさまざまな業態にチャレンジする。こういった情報についてはカーライルが強いので期待をしたい。

――あらためて、再上場したことによるメリットは何か。

上場することでM&Aしやすくなった。上場することで株価が通貨になり、極めて買収が行いやすくなる。

――外食業界内ではM&Aがあまりうまくいっていない。チムニーが成功できるのか。

僕や次の経営者が現場感覚を持ち続けられるかどうかで決まる。外食業界はビール1杯でいくら儲かるか、といったことの積み重ねがビジネスの決め手になる。経営者がどんな立派なことを言っても、店に行けばすぐわかる。これが分からなくなると、どこと一緒になっても上手くいかない。

そういった点でカリスマの創業者が一緒に経営に取り組まないとダメ。だからワタミの渡邉美樹氏も現場に戻ってきたのだろう。この業界は地べたを這いまわる人じゃないと経営者は務まらない。それをチムニーの伝統にしたいと思う。

(撮影:梅谷 秀司)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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