渡邉:宗教団体も営業活動が大事だということですか。
藤原:もちろん。だから、宗教団体に課税してきちっと税金を払ってもらった上で、徹底的に事業をして、もっと従業員を抱えてもらうことが大事。成熟社会では、問題が複雑化して多様化するうえ、変化が激しくなる。それにつれて、やっぱり個人の生きにくさも増すから、宗教が大切になってくる。
たとえば、大津市のいじめの問題なんて学校の問題ではないと思う。ああいう問題は、本当は宗教家が間に入って対応したほうがいい。いじめも自殺も学校が原因では起こらない。あれは社会問題なんですよ。
渡邉:ただし、普通にサラリーマンをやっている人が宗教団体に転職してしまうと、世間からは「この人は社会から完全にドロップアウトした」とみなされてしまいますよね。とくに、上の世代ほど、親戚一同からどう見られるかをすごく気にします。だから、若い人が宗教団体で食っていくのが当たり前になるには、20年くらいかかりそうな気がします。
藤原:確かにそうかもしれない。でも今後は、次男を寺に出すような家庭も少しは出てくるんじゃないかな。昔であれば、長男に相続する時、次男以下は出家させたわけでしょ。兄弟同士の争いを避けるために。それに近いことが、これから復活するんじゃないかな。
渡邉:それが実現すれば、ものすごく多様化した社会ですね。
藤原:すでにそういう流れは大きなうねりになっている。とにかく、八百万の占いから幸運を呼ぶストーン、アニマルセラピーから電話相談と、世はセラピーブームでしょ。
渡邉:ただ、オウム真理教の事件があったせいか、宗教にはやはり抵抗がありますよね。
藤原:そうだね。でも、宗教団体から生まれる「お布施の経済」は絶対無視できない。これを抜きにして、これからの経済を語っても意味がないと思うな。
(撮影:梅谷秀司)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら