成熟社会でも食える4つのエリア 藤原和博(その6)

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渡邉:教育についてはどうですか。

藤原:教育に関しては、もうすでに私的な領域が巨大になっているよね。公文にしても、ベネッセにしても大企業になっている。塾も少子化で衰えるのかと思いきや、全然そうはなっていない。他の塾を買収して巨大化し、ものすごい利益を出しているところもあるしね。

藤原和博(ふじはら・かずひろ)
杉並区立和田中学校・前校長 
東京学芸大学客員教授
1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長 などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長 を務める。08~11年、橋下大阪府知事ならびに府教委の教育政策特別顧問。著書に、人生の教科書シリーズ、『リクルートという奇跡』『つなげる力』等。最新刊の『坂の上の坂』が10万部を超すベストセラーに

だから、中学受験、大学受験も含めて、私的な教育サービスはこれからも拡大していく。それから、和田中で行った、英語の「アドベンチャーコース」のような例も増えてくるはず。これは、英語をもっと勉強したいという生徒向けに、土曜日に英語の授業を行うというコース。こうした補講を一コマ500円くらいで提供するサービスも増えていい。同じように部活についても、500円くらいのお金を払って、追加の講習を受けられるようにしていけばいい。町中のスポーツ教室や英会話教室に通ったら5000円ぐらいかかるけれど、学校であれば500円ですむ。そういうサービスが拡大していくんではないかな。  

ボランティアと聞くと、日本人は「自己犠牲=無料」だって考えるでしょう。でも、そうではなくて、欧米では有償のボランティアがものすごく浸透しているんですよ。この概念がどれくらい広がるかがとても大事になってくる。

要するに、教育の分野でも介護の分野でも、ワンコイン500円を出せば、プラスアルファのサービスを受けられる、チップみたいな経済が広がると思う。もっと言うと、「お布施の経済」と言ってもいい。みんなが喜んだ分だけお金をチップみたいにして出すというようなイメージ。貨幣やGDPの統計には出てこないような新しい経済が、もっともっと広がっていく。

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