渡邉:教育についてはどうですか。
藤原:教育に関しては、もうすでに私的な領域が巨大になっているよね。公文にしても、ベネッセにしても大企業になっている。塾も少子化で衰えるのかと思いきや、全然そうはなっていない。他の塾を買収して巨大化し、ものすごい利益を出しているところもあるしね。
だから、中学受験、大学受験も含めて、私的な教育サービスはこれからも拡大していく。それから、和田中で行った、英語の「アドベンチャーコース」のような例も増えてくるはず。これは、英語をもっと勉強したいという生徒向けに、土曜日に英語の授業を行うというコース。こうした補講を一コマ500円くらいで提供するサービスも増えていい。同じように部活についても、500円くらいのお金を払って、追加の講習を受けられるようにしていけばいい。町中のスポーツ教室や英会話教室に通ったら5000円ぐらいかかるけれど、学校であれば500円ですむ。そういうサービスが拡大していくんではないかな。
ボランティアと聞くと、日本人は「自己犠牲=無料」だって考えるでしょう。でも、そうではなくて、欧米では有償のボランティアがものすごく浸透しているんですよ。この概念がどれくらい広がるかがとても大事になってくる。
要するに、教育の分野でも介護の分野でも、ワンコイン500円を出せば、プラスアルファのサービスを受けられる、チップみたいな経済が広がると思う。もっと言うと、「お布施の経済」と言ってもいい。みんなが喜んだ分だけお金をチップみたいにして出すというようなイメージ。貨幣やGDPの統計には出てこないような新しい経済が、もっともっと広がっていく。