かつて、ネイティブスピーカーから、英語できちんとした授業をしていたにもかかわらず、生徒や父母から、受験対策をやってほしいという苦情を受けたという話を聞いたことがあります。受験英語をやらなければならないので、子供の頃から続けていてせっかく上達していた英会話をやめるという話もよく耳にします。
結局、小学校から英語をやっても、オールイングリッシュで授業をしても、高2くらいからの、多くの日本人が一生でいちばん勉強する受験期に偏った英語に終始してしまい、バランスを崩されてしまうのです。
あるたいへん優秀な高校の先生も「(和訳に偏った国立大学の二次試験に関して)あんな入試問題なら、努力してオールイングリッシュで授業をするかいがない」と口にしました。結局偏った大学入試が、18歳までの英語教育改革の努力を潰してしまっている実情があるのです。
大学受験を変えて、プラスのウォッシュバック効果を
さて、世界に目を向けるとLRSWの4技能を試す形へとテストはどんどん進化しています。iBTというインターネット技術を駆使した形式や機械による音声分析技術を駆使し、スピーキング能力を客観的に試すテストが次々に登場し、アカデミックな場で使用されるようになっています。
また、前回も述べたとおり、韓国ではNEATという、ほぼ英語オンリーの4技能試験が国策としてスタートしました。このテストは強力なウォッシュバック効果を生み始めています。
遅れましたが、今、わが日本にも、世界の英語テストに十分対抗でき、大学入試での使用に適した、世界レベルのテストが誕生しようとしています。
その期待の新星は、TEAP(ティープと読みます)というテストです。TEAPはTest of English for Academic Purposes(アカデミック英語能力判定試験)の略語。つまりTEAPは、大学で学術研究をする際に必要とされる、アカデミックな場面での英語運用力(英語での講義受講、英語資料や文献の読み込み、英文によるリポート作成、英語での発言など)を正確に測定するためのテストなのです。
またこのテストは資格試験なので、複数回の受験が可能となり、その最高点を入試のために提出するような形で利用されると見込まれています。このことによって、受験のチャンスが何度も生まれます。
上智大学と日本英語検定協会が共同で開発したこのTEAP。11月4日には開発に関するシンポジウムが開かれ、私も参加してきました。その際に発表されたTEAPの概要で、注目すべき点を以下にQ&A方式で紹介していきます。「 」で囲んだ部分はTEAP広報資料からの抜粋です。
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