以上がTEAPの概要です。同シンポジウムでは、リスニングとリーディングパートのサンプル問題が配布されました。英検協会と上智大学の問題作成チームが全勢力を傾注して作成しただけあり、最初から相当なクオリティのテストが出来上がっています。問題文は英語のみで、日常英語に関する出題はなく、すべて大学で使うアカデミック英語の観点で出題されています。英検の合格ラインから推測すると、TEAP150~160点くらいが準1級と同等といえるかもしれません。
問題は非常にスッキリしたもので、日本のテストによくある奇妙な引っかけはなく、予備校的なテクニックも通用しません。英語の実力のみが反映するように工夫した結果でしょう。
SpeakingとWritingはサンプル問題が配布されていないため深くは言及できませんが、Sの試験時間が10分と短いのが気になります。個人的にはTOEICのS試験と同様の20分程度にして、問題数を増やしたほうがいいかと思います。またSは1対1の面接、Wは手書きで解答ということになっていますが、これもコストや効率を考えると、TOEIC SW試験と同じように、パソコンでの音声吹き込みおよびタイピング方式にしたほうがいい気がします。あくまでも個人的な意見です。そうすれば、iBT(インターネットを使ったテスト方式)によって多数の受験者をさばくことができますから。
2015年に上智大からスタート、問題はその後の普及
総合的に見ると、日本の英語教育を変える期待の星といえるTEAP。気になるのは導入時期ですが、まずは15年から 上智大学の一般入試でスタートするそうです。その後は、英検協会をハブにして各大学にTEAP枠ができていくことが期待できます。となると将来的には、高校2年ごろから何度もTEAPにチャレンジできるようになり、英語入試に関しては、TEAPの最高点を願書と共に大学に提出することになるとも予測できます。
もちろん、私もテストのために英語を学習させることの限界やむなしさは十分に理解しているつもりです。しかしながら、テスト以外の方法でこの国の中高生に英語学習の必要性を創出する方法は、頭をいくらひねっても思いつきません。
ならば、まずは、明らかにおかしなテストシステムを直し、よいものにすることが先決だと思います。バランスのよい良質のテストに向けて勉強する体制をまずは構築し、それなりの底上げをしてから、「テストのために英語を学ぶのが是か非か」という禅問答を、長い時間をかけてじっくりやればいいのだと思います。
まだまだ、産声を上げたばかりではあるものの、大学入試用資格試験がやっと日本に誕生したことを、たいへんうれしく思います。ただ、このTEAPが普及するかどうかは、たくさんの人の応援にかかっていると思います。どうぞ皆さん、ぜひTEAPに注目して応援してください。
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