頼られるリーダーは「9割冷酷、1割優しい」 知っておきたい「叱り方」と「褒め方」

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冷酷さも同じで、仕事のための9割の冷酷さを貫く君主(上司)は、珍しく見せる優しさが部下の大きな印象に残ります。きちんと叱る、先を見据えて動き甘えを許さないという2つの冷酷さを使いこなす上司の部署は、トラブルが少なく、問題を事前に解決し、みんなが緊張感を持って働く良い職場とも言えます。

結果として、非人道的とまで言われたハンニバルのように、部下が彼に信頼を寄せ、成果を挙げることができる職場とリーダーに感謝することになります。

1割の優しさと、巧みな目標設定とは

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この記事の最後に、1割の優しさとして「褒めること」、そして君主の教育法として、目標を大きくしていくことをお伝えしておきます。褒めるとは、文字通り部下を褒めることですが、注意点は必ず「正しい成果を挙げた者」を褒めることです。

上司が褒める人物像が、他の部下の目標になり、褒められた人物に似た行動をする人が増えていくからです。不正行為で成果を出したものを評価すれば、そのような行為に手を染める部下が、社内に増えていく土壌を作ることになります。

新人教育という点で、最初は必ず上司に「権威」があります。なぜなら、新人と上司では、知識量と経験値が大きく異なるからです。そのため、新人は教育を受けている期間は、常に上司とのギャップを感じて「健全な不安」を抱えているはずです。

仕事ができるようになるには、上司や先輩社員のような「知識と経験が必要だ」と感じることが、新人の心の中で謙虚さや、上司への権威を生み出しているとも言えます。

しかしその不安(とあなたへの権威)は、時間が経つごとに減少していきます。新人も仕事の知識を増やし、経験を積んでいくからです。このような時、新人からギャップによる権威が消えた上司は、どんなことをすべきか。一番カンタンなのは、新人の目標をレベルアップさせていくことです。

部下への教育の成果が出てくる時期、経験を積んで実力が育ってきた時期には、健全な形で目標レベルを上げることが望ましいのです(ただしやる気を失うほど乖離してはいけない)。部下が育ってきたことを認めながらも、実力と目標はつねに健全なギャップを保っておく。ある種の不安を与えるのです。これは部下の成長を促すと同時に、上司が健全な形で支配力を維持する(ある意味で冷徹な)マキアヴェリ流の方法なのです。

鈴木 博毅 ビジネス戦略、組織論、マーケティングコンサルタント

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すずき ひろき / Hiroki Suzuki

1972年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。貿易商社にてカナダ・オーストラリアの資源輸入業務に従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略論や企業史を分析し、新たなイノベーションのヒントを探ることをライフワークとしている。『「超」入門 失敗の本質』(以上、ダイヤモンド社)、『実践版 孫子の兵法』(プレジデント社)、『3000年の叡智を学べる 戦略図鑑』(かんき出版)など著書多数。

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