頼られるリーダーは「9割冷酷、1割優しい」 知っておきたい「叱り方」と「褒め方」
長い歴史を分析したマキアヴェリの結論は“リーダーはまず冷酷さを発揮せよ”だとわかります。しかし、彼の提言を使いこなすには「冷酷さ」の定義を正しく知る必要があります。
リーダーに必要な「冷酷さ」の正体とは?
冷酷さの意味を知るために、まずはその逆の「優しさ」について考えてみましょう。一般的に優しさとは、相手に対して思いやりがある、相手の立場を考慮してあげるなどの意味を持ちます。重そうな荷物を抱えていれば手伝ってあげるなど、典型的な優しさの発揮です。
ならば、冷酷さを発揮するとは「相手に思いやりを持たず、相手の立場を考慮しないこと」になります。なぜこのような冷酷さがリーダーに必要なのでしょうか?マキアヴェリは『君主論』の中で、2つの要素を挙げて冷酷さの必要性を説いています。
1.部下を正しく動かすため
2.長い目で見て、失敗や惨事を未然に防ぐため
ひとつめの「部下を正しく動かすため」は、わかりやすいと思います。忙しいときや大変なとき、上司が部下の個人的な都合や気持ちばかり考慮していれば、優しさを発揮していても、必ずトラブルになります。店舗や会社の業績が落ちることにもなるでしょう。
「あまりに憐み深くて、混乱を招き、やがては殺戮や略奪をほしいままにする君主に比べれば、冷酷な君主のほうは、ごくたまの見せしめの残酷さを示すだけで、ずっと憐みぶかい人物になる」
「後者の場合、君主が処刑を言い渡すのは、ただ一部の個人だけ傷つければ済むわけで、前者であれば、全領民を傷つけてしまう」(いずれも『君主論』第17章)
殺戮や略奪とはビジネスでは大げさですが、会社や店舗で必要な行動をきっちりさせず、部下の個人的事情を考慮してばかりいては、部下は全力を出さなくなります。自分の都合を上司に告げれば、それで無罪放免になってしまうからです。
過剰な優しさ(相手への配慮)は、部下の甘えにつながります。業績悪化やお客様からのクレームなどのしわ寄せが来ると、リーダー側が追い詰められてしまい、部下に当たり散らしてしまうか、職場の人員整理(リストラ)など、より過酷な出来事が降りかかることにもなりかねません。
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