多くの方にお話を伺っている中で感じるのは、ストレスチェックを何のためにやるのか、どんな効果があるのか、いまいちわからないまま、面倒だと感じている現場が多いということです。「やっつけ仕事」の感覚になってしまっているのですね。
その原因の一つには、企業側に実施する義務があるにもかかわらず、受ける側には義務がないことです。加えて、チェックを受ける側に、ストレスの自覚がない人が多いことも関係しています。
そもそも、その「ストレスに無自覚な人たち」に早く現状に気付いてもらうことが、ストレスチェックの目的と言えますが、忙しく精力的に働いている人たちにとって、「心の病なんかになるはずがない」「自分だけは大丈夫」という幻想が、明らかにあるのです。
そして、忙しくてチェックなんてやってられないから、チェックシートは熟読せずに全部「どちらとも言えない」を付けた、と豪語する人たちの、なんと多いことか。
会社に不満を持つ者が、ここぞとばかりに…?
さらには、チェックの結果は会社に通知されない前提だけれども、どこでどのように伝わるかわからない、という不安を持つ人も多くいます。結果如何でプロジェクトの担当を外されたり、出世に影響してはたまらないという理由から、良好な状態にあえてチェックをするという人までいます。
これとは逆に、会社に不満がある人が、ここぞとばかりに不調を訴えてくるケースも考えられるのです。そういう意味では、必ずしも本当のメンタル不全者を自覚させるために機能するわけではない、というジレンマが起こってきます。
このような誤差はある程度なら問題ないのですが、現場で話を聞く限りは、どうも疑心暗鬼になっている担当者が少なくないように感じます。
ですので、実施する企業は、何のために行うのか、どのようなシステムになっているのか、まずしっかりと分かるように従業員にアナウンスすることが重要です。法律文書のように分かりにくいものではなく、より分かりやすい表現に変えて伝えることが大切。親しみやすいキャッチコピーを考えるなど、工夫する必要がありそうです。
もう一つ、ストレスチェックの見過ごせない課題は、ぼやっとした結果しか得られないという点です。
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