ストレスチェックの実施者は、結果を一定規模の集団(部、課、グループなど)ごとに集計分析した情報を提供してもらうことができますが、集団規模が10人未満の場合、個人特定される恐れがあるので、全員の同意がない限り提供を受けてはいけないことになっています。つまり、情報を得るためには小グループが10人以上である前提となり、ある程度大所帯でないと結果が受けられないということにもなりかねません。
また、ストレスチェック制度の担当者は、人事権のある立場にある者は従事できず、人事権のない者が従事可能なのですが、大抵の企業では、総務・人事が担当することになるので、体裁だけを整えるということになるのは目に見えています。
……と、問題が目白押しですが、とはいえ、やるからには何らかのメリットを企業側も従業員側も得られるようにしたいところです。そのためには、どう使っていくかが問題になります。
自分の状態を把握できている人は、意外と少ない
それをはっきりさせるため、まずはストレスチェックを行うメリットをもう一度押さえておきましょう。
自分の状態を客観視するスケールとして使用することによって、潜在的な不調を予測し、自らの生活改善や職場での関わりを見直すきっかけとなることが望ましいです。意外に自分の状態を把握できていない人たちが多いので、自己理解のツールとして、使用していくことです。自分のためにやると思えば、取り組む意識も変わってくると思うのです。
そのために企業側は、安全・安心のシステムであるこに注力しなければならず、それが明確にわかるよう、従業員に繰り返し伝えていく必要があります。
一方で、企業でコストをかけて実施するからには、企業にとってより多くのメリットが得られることを目指していかなければなりません。そのためには、ストレスチェックをきっかけに、最終的には教育・研修につなげることが、何よりも大切です。
第1次予防(物事が起こらないようにする予防)は最も予防効果が高いにもかかわらず、多くの企業が、起こってもない未知のことに費用をかけたがらないのが現実です。ストレスチェックが義務化されたことで、この第1次予防に取り組むステップになることが望まれます。
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