アコーディアに経営統合のメリットはない 買収対抗策を鎌田社長に直撃

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ホワイトナイト含めあらゆる可能性検討

――ホワイトナイトの可能性は検討したのか。

ホワイトナイトを含め、あらゆることを検討するのは経営者として当たり前だ。

――TOBへの応募株数が上限(PGMは株式所有割合50.1%を上限とし、それを超えたら応募株数に対し按分比例での買い付けにするとしている)まで達したら勝負あり。逆に20%未満なら成立しない。仮に20%超だが30%以下といった中途半端な水準なら、株主総会を開いてポイズンピル(敵対的買収時に行使できる新株予約権などをほかの株主に付与すること)の導入を考えるか。

20%超ならPGMの持分法適用会社になる。経営へ関与は強まるだろう。仮定の話はできないが、つねに株主にプラスとなるような判断をするとしか言えない。

――このまま8万1000円に達しなかったら次の手を打つのか。

コンプライアンス問題など、きっちり経営に取り組んでいくだけだ。

リオ五輪での正式種目化に期待

――5500円以上の配当が持続可能なら、配当利回りを考えると8万1000円は割安といっていい(株価8万1000円で年間5500円配当なら配当利回りは6.8%)。それなのに株価が上がらないのは、高配当の持続可能性に投資家が疑問を持っているからではないか。ゴルフ産業をめぐる環境がますます厳しくなる中、むしろ利益が落ちる心配はないか。

そんなことはない。2016年のリオ・デ・ジャネイロ五輪ではゴルフが正式種目となる。社会的な関心が高まっていく。社会的な関心が高まれば市場活性化だけでなく、ゴルフ場利用税廃止への追い風となる可能性もある。現在、ゴルファーに対しては消費税とゴルフ利用税の二重課税になっている。業界でこの廃止運動をやっている。地方税源となっており、廃止は簡単ではないかもしれないが。

――ゴルフ場利用税廃止を働きかけるにしても統合会社のほうがいいのでは。

アコーディアとしてはまずはコンプライアンスをきっちりやっていくことで、市場や社会からの信頼を回復する。何回も申すが、企業は大きければいいわけではない。(TOBに応じるかどうかは)最終的には株主が判断することだ。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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