セブン株主総会で鈴木敏文氏が遺した言葉

鈴木氏の退任を惜しむ声が株主から相次いだ

「退任を先に延ばすことはできないか」「驚いているし、寂しい」など、鈴木敏文氏の退任を惜しむ声が多くの株主から聞かれた(記者撮影)

人事をめぐって対立した二人が最後の最後で握手を交わした――。

5月26日、東京・四ツ谷の本社で開催されたセブン&アイ・ホールディングスの株主総会。午前10時に始まった総会の中で、ひときわ大きな拍手が起きたのは終了直前の午前11時50分だった。議長を務めた村田紀敏前社長に促される形で、鈴木敏文前会長と井阪隆一新社長が笑顔で握手をしたのだ。

「私がこのグループに入ったのは1963年のこと。当時の規模が売り上げで約40億円、店舗数は5店舗だった。今日ではグループ売上高が10兆円を超す規模になった。株主の皆様の多大なるご支援があったからこそ達成できたと思っている」。鈴木氏は出席した株主に対し、こう退任のあいさつを述べた。

鈴木名誉顧問は「相談したいときに相談できる存在」

さかのぼること3カ月前の2月15日。鈴木氏は当時のセブン-イレブン・ジャパン社長の井阪氏に退任を迫った。3月に開かれた指名・報酬委員会でも結論は出ないまま、4月7日の取締役会で井阪氏退任の人事案が議論された。無記名投票で採決した結果、賛成が過半数に届かずに否決された。

自ら提案した人事案が通らなかったことで、鈴木氏は経営の一線から退くことを決意。それどころか、退任を迫られていたはずの井阪氏自身がグループを率いるポジションに抜擢されたのだ。

株主総会が行われた日の午後、就任会見に臨んだ井阪氏は「成長戦略と構造改革を練り上げ、第2四半期決算発表までに公表したい」と述べ、総合スーパーや百貨店などの不振事業の再建に取り組む姿勢を示した。

鈴木氏が推進してきたオムニチャネル戦略についても「絶対やり遂げる。Eコマースの需要は増えており、しっかりやり遂げたい」と語気を強めて決意表明した。

会長を退任した鈴木氏は名誉顧問に就任し、「相談したいときに相談できる存在」(井阪社長)として、本社近くにオフィスを構える予定となっている。

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