スズキ修会長、責任問う声に「徹底的に残る」 株主も迷う、カリスマ経営者の難しい引き際

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昨年は株主総会の4日後に鈴木俊宏氏への社長交代を発表した(写真:記者撮影)

「あのー、責任の取り方というのはいろいろあるんですね。企業経営で、責任を取って辞めるということは無責任だと私は考えております。最悪の事態を迎えていますが、こういうときこそチャンスでありますから、再発防止のために徹底的に会社に残って責任を全うすることが男として大切なことだと思います」

燃費計測での不正問題を受けて「取締役を退任すべき」と迫る株主にスズキの鈴木修会長が反論すると、会場から大きな拍手が起こった。

6月29日、スズキは浜松市内のホテルで株主総会を開いた。5月に燃費試験のデータ測定における不正が発覚し、6月8日には修会長のCEO職辞退や本田治副社長の退任などを表明している(人事異動は本総会終了時)。

修会長の続投を望む声が多数

主力の軽自動車の販売が落ち込む中、株主はどう感じていたのか。「会長が何を語ってくれるのか関心があって来た」と、スズキの取引先の経営者である男性株主が総会前に語ってくれたように、今年の同社の株主総会は例年以上に注目を集めていた。

実際、今年の株主総会には、昨年より75人増、過去最多の642人が参加した。不祥事が起きた後だけに荒れる可能性もあったが、総会は全体的に淡々と進行した。

総会前後に株主に声をかけると、御年86歳の修会長に対して「続けてもらわないと困る」(80歳の男性株主)、「会長には残ってもらわないと。今辞められたら残される鈴木俊宏社長もかわいそう」(OBでもある79歳の男性株主)、「スズキイコール修会長。健康が維持できるならがんばって欲しい」(60代の男性株主)と続投を支持する株主の意見を多く聞いた。

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