一方、「もう潮時。口では言わないが、若い人達が迷惑に思っている。思い切って若い世代に任せてしまったほうがいい」(78歳のOB株主)、「会長の実績は誰もが認めるが、もう身を引くべき」(OBの男性株主)との声もあった。
ただ、現役続行を望むか、引退を勧めるかにかかわらず、修会長の経営手腕への信頼は厚く、会長に頼れる期間が残りわずかであることは共通認識としてあった。
そのうえで、俊宏社長に対しては「修会長に比べると迫力不足」という見方でほぼ一致。とはいえ、「修会長の後は俊宏社長をおいてほかにいない」という声が大半を占めた。
株主の俊宏評は、「だんだん話す内容が充実してきた」「意外に任されていると聞いている」など徐々に評価も高まっている。「会長がお化けということ」と、修会長と比較されることに同情する見方もあった。
脱カリスマが進まない弊害も
修会長は、丸38年間スズキのトップを務め、インドでナンバーワン、小型車で世界のライバルも一目置く自動車メーカーに育て上げた。世界を見渡しても修会長に匹敵する経営者はそういるものではない。
今回の不正問題は、対応を誤れば経営に大きなダメージを受ける。こうした苦境では、修会長が舵を取っているほうが安心感はある。反面、いつまでたっても脱カリスマが進まないという事態になりかねない。
「いっそ身を引いて、任せてしまえば俊宏社長以下が鍛えられるのでは」。6月8日にCEOの辞退を発表した会見で修会長に記者が尋ねた時は、「ご意見は参考にさせていただきます」との答えだった。
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