「退任してくださーい」
シャープの第122回株主総会で壇上に立つ高橋興三社長に対し、やじが飛んだ。高橋社長も負けじと「すぐします」と応酬、終始荒れ模様の総会となった。
鴻海精密工業による買収の是非が問われるとあって、総会は合計4時間半におよぶ長丁場になった。冒頭で高橋社長は役員一同を起立させ、「株主の皆様にまずお詫びしたい」切り出し、赤字幅の拡大や4期連続の無配について陳謝した。その上で「財務体質を改善させ投資を再開し、経営を再建させるために鴻海との提携は欠かせない」と理解を求めた。
株主からは不満が噴出
最終的には鴻海グループ傘下入りは承認されたが、質疑応答では株主から経営に対する不満が噴出。シャープの交渉術の稚拙さや鴻海からの出資の実現性を疑う声が目立った。
実際に鴻海がシャープを買収するには、独占禁止法の問題をクリアする必要がある。独禁法は国ごとに定められ、各国の規制当局は自国内で事業を展開する企業間で買収が行われた場合、買収後の市場の寡占状態や当該買収による寡占化の進行度を測り、審査対象になるか決定する。
対象となった場合、競合企業とのシェア格差や競合の数、参入障壁、需要動向、技術革新の動向などの要素を勘案し、市場における競争を実質的に制限するか否か判断する。過去には米規制当局の認可を得られず、半導体大手・東京エレクトロンと世界首位の米アプライドマテリアルズの経営統合が破談になった例もある。
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