今回の独禁法の審査に関し、高橋社長は「日本・台湾・中国・欧州で審査を受け、相当速いスピードで進んでいる。まだ審査に通っていないのは中国だけ」と説明。7月初旬までには出資を受け、新体制がスタートするものと見られる。
出資完了となれば高橋社長は退任し、後任には鴻海の戴正呉副総裁が就任する。9名中6名が鴻海選任の取締役となることも承認された。
“新生シャープ”について鴻海の出資後もシャープに残る野村勝明副社長は、「過半の出資を受けてもシャープの名前は残る。シャープはいつまでもシャープということで頑張りたい」と説明した。
しかし、それは甘い幻想でしかなさそうだ。戴次期社長は、前日に台湾で実施された鴻海の株主総会で、シャープの人事制度に”信賞必罰”を導入する考えを示し、鴻海トップの郭台銘(テリー・ゴウ)董事長も「腐った卵しか産まない鳥は要らない」と話したとされる。5月に一度発表して取り下げた7000人規模の人員削減の可能性も示唆し、シャープの抜本的な改革に乗り出す構えだ。
リストラが実施されるとなれば、中国におけるシャープの液晶工場など、鴻海に委託可能な生産現場の人員や、国内では本社機能の人員の削減をまず迫られる可能性が高い。事業部の体制に関しても、より鴻海グループ各社と円滑な連携を進められ、管理しやすい形に再編されることが予想される。
ただ、こうしたリストラ以前に、すでに人材は他社に流出している。元専務である方志教和氏は2015年6月に退任し、今年7月に液晶事業でシャープのライバルであるジャパンディスプレイの副社長に就任する。また元副社長である大西徹夫氏は2016年3月に退任して、5月からは日本電産の顧問に就き、その後副社長執行役員になった。幹部以外にも優秀な社員は他社に流れているといわれ、競争力の低下が懸念される。
はたして鴻海主導による“大手術”でシャープはよみがえることができるのか。前途には茨の道が待ち受けている。
(撮影:ヒラオカスタジオ)
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