営業利益率8%実現、リスク取って勝負 コニカミノルタHD社長 松崎正年

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──中国の景気減速、反日感情の悪化による影響は。

新興国の中で、上期の売り上げの伸び率が、計画より下回ったのが中国だった。中長期的な成長を見込んでいることに変わりはないが、今はしのぐ時期だろう。

当社の製品はコンシューマー用ではないため反日感情の影響は少ないが、政府関係でいくつか契約が先延ばしになったケースは出ている。

──人件費高騰のリスクもある。

それは検討中の課題だ。当社の場合、事務機器の生産は中国がほぼ100%となっている。そのような状態は、リスク管理上よくないと考えている。

──中期計画については。

掲げた目標にはこだわっていく。特に大切なのは営業利益だ。13年度に利益率8%は最低限実現したい。

これまでも、社内外で、収益規模の拡大がなければリスクを取ることができなくなると言ってきた。かつて、ある買収案件があった際、検討したものの財務面で見送って、結果的に競合他社が買収した。そのとき、勝負をかけたくても、利益の蓄積によってどこまでリスクを取れるかが決まってしまうと痛感した。

現在は実質無借金で財務体質もよくなり、以前よりリスクを取ることができるようになっている。

──コニカミノルタをどのような企業にしていきたいですか。

複合機を売って、トナーなど消耗品で稼ぐというビジネスモデルへの依存度は減っていくだろう。

そのためにも、事務機器事業ではITサービスや印刷関連のコンサルティングなど、顧客に対して当社が提供できるサービスを増やしていくための施策を行っているところだ。

また、事務機器以外の収益源として現在は液晶モニター用のTACフィルムが貢献してくれているが、さらにこの機能性フィルムのビジネスを拡大していく必要がある。この分野でもシナジーがあればM&Aも視野に入れた成長を考えている。

収益規模を拡大し、リスクを取って成長していく。そうしたサイクルを健全に回していきたい。

(聞き手:島 大輔 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年12月1日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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