規模を狙うコニカミノルタ、大胆な「戦略転換」の真意
事務機大手のコニカミノルタホールディングス(以下コニカミノルタ)。経営姿勢を一言で表現すると「華よりも実を取る」だ。
2003年に旧コニカと旧ミノルタが統合。07年には、当時のグループ従業員約1割に当たる3700人の削減に着手し、それぞれの祖業であるカメラ事業から撤退した。
主力事業を見ても、トップシェア製品はない。複合機はA3型のカラー機で世界シェア約20%と2位、液晶テレビ用のタックフィルムも同30%で2位、そして商業印刷機も同約40%で、これまた2位だ。無理に価格競争を仕掛けず、成長が見込めて採算を確保できる分野で、確実に稼いできた。
事務機業界の構造変化 今後は「知恵」の勝負
だが、今年5月12日。新中期経営計画の説明会で、同社の松崎正年社長はこう切り出した。「成長に向けて、規模の拡大に挑戦する」。
複合機ではカラー分野でのトップシェアを目指す。商業印刷機でも品ぞろえの拡充で首位を狙う。これらの「ジャンルトップ」戦略をテコに、新中計の最終年度である13年度に売上高1兆円(10年度実績7779億円)、営業利益率8%(同5・1%)に引き上げる。規模拡大を明確に打ち出した裏には、どのような真意があるのだろうか。