規模を狙うコニカミノルタ、大胆な「戦略転換」の真意

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新興国展開も利益重視 バランス人事を継続か

先進国へはサービス業でアプローチするが、市場が拡大する新興国へは品ぞろえ強化で臨む方針だ。

中国や南米など新興国では、先進国で主流のA3型よりもA4型複合機の需要が増加中。が、「伸びている市場に適応した製品を投入できているか。その意味では、コニカミノルタはA4型複合機の品ぞろえが十分ではない」と、JPモルガン証券の森山久史アナリストは指摘する。

そのことはコニカミノルタも承知で、A4型カラー機の新製品投入を計画している。一方で、カラー機よりも市場が大きいモノクロ機は収益性が低いため、「このマーケットは他社にやってもらっていい」(山名昌衛常務執行役)。A4型は単価が40~50万円とA3型に比べて5分の1程度だが、それでも「カラー機ならば利益率3%以上と確実に儲けを取れる」と、山名常務は説明する。

結局のところ、狙っているのはシェアが取れるボリュームゾーンではない。サービス業では、事務機の大量受注につながる大企業よりも、小粒でも採算のいい中小企業向けに力点を置く。新興国展開にしても、大量販売が見込めるモノクロ機よりも、利益率の高いカラー機の開発に注力する。ライバルが手薄な分野や技術力に優れる得意分野を見極め、そこに重点投資。特定ジャンルでトップに立つというスタンスだ。

「目指すのはあくまで、『利益の規模拡大』」と、松崎社長。真に追求するのは収益性であり、確実性。やはり、「華よりも実」なのである。

もっとも、日米欧の主要市場が鈍化する中、経営陣は難しい舵取りを求められている。しかし、社長は旧コニカと旧ミノルタの出身者が順番に入れ替わる“たすき掛け”人事。取締役もそれぞれの出身者がほぼ半分ずつと“バランス”にこだわっているように見える。環境変化に即応したスピード感ある意思決定がなされているのか、気になるところ。

したたかな成長戦略を描くコニカミノルタだが、真価が問われるのはこれからだ。

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(梅咲恵司 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済2011年7月23日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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