YouTubeに踏み込むテレ朝、ためらう日テレ スマホ普及の波はテレビ局をも襲う
コンテンツパートナーはテレビ番組のスピンオフ企画や音楽、アニメのほか、電車、ポップカルチャーなど合計で17チャンネルを提供する。「シンプルな動画ではなく、インタラクティブ(双方向性)で、日本国内だけでなく世界を意識したオリジナル動画を配信する」。27日、東京・恵比寿の恵比寿ガーデンプレイスで記者会見した、グーグルの水野有平執行役員・YouTubeパートナーシップ日本代表は強調した。
今回のYouTubeオリジナルチャンネルで着目すべき点は、「キー局」と呼ばれる在京の大手テレビ局がコンテンツパートナーに参加していることだ。もともとキー局はYouTubeに一部の番組を提供する関係を構築していたが、本来、動画配信サイトとテレビ局は競合する関係。そのテレビ局が独自の番組をYouTube向けにつくり下ろすという積極的な協力・連携に乗り出すのである。
ただ、その取り組みの姿勢はテレビ局によって温度差がある。
テレ朝は先行事例で成功体験
最も力が入っているのがテレビ朝日だ。同日、YouTubeオリジナルチャンネルの会見に参加した武居康仁コンテンツビジネス戦略部長は、「(地上波テレビ向けに)放送している番組と同じクオリティの番組をつくり、テレビ朝日のファンをつくりたい。(地上波の)おまけ動画、スピンオフ企画とは位置づけていない」と力説した。
テレビ朝日はこれまでにも人気バラエティ番組「ロンドンハーツ」をYouTube専用に編集した「ロンドンハーツNetMovie」を配信。YouTubeとテレ朝動画で計1億回の再生回数を記録している。「ソーシャルメディア(SNS)でも話題となり、盛り上がった」(武居氏)その成功体験から、YouTubeとの関係深化に一段とアクセルを踏み込む。
TBSテレビやフジテレビのスタンスはどうか。2社の代表者は「スピンオフ企画の番組をYouTubeに配信してみたところ、テレビの視聴率はむしろ上がった」(TBSテレビの杉田謙二・デジタルビジネス統括担当局長)。「数字で考える複雑なゲームの番組の解説版をつくるなど、テレビとの連携効果がある」(フジテレビジョンの山口真・編成担当局長)。今回の2社は、コンテンツパートナーに参加したもののテレビ朝日に比べると若干引いた姿勢も垣間見える。