突破力あるリーダーとは(下) 新世代リーダー 石川康晴 クロスカンパニー社長

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東北での活動もご紹介したいと思います。

3・11に関しては、我々も例外ではなく190店舗が被災しました。当時350店舗しかありませんでしたので、190店舗の被災は会社の根幹を揺るがすぐらいだったと、今振り返っても少し寒気が立つような出来事です。この状態で、どう意思決定していくべきかと、自分が震災対策本部長となり朝から晩まで24時間、パソコンとテレビの前に立ち、やり取りをしていました。

2日目に決断したのは7000着、服を送るということです。全店に義援金箱を置き、ECサイトで西日本の方にチャリティ商品を買ってもらうことを2日目に意思決定しました。思い付きではなく、被災地にいる社員とメールでやり取りを行いました。

「今から体育館に向かいます」「体育館にすごい人がいます」「寒くて寝られません」「朝方6時くらいに朝食が出ると聞きました」。笑顔の絵文字が付いていました。朝の10時ぐらいに「朝食出ませんでした」と、残念な絵文字が付いていました。寒いというキーワードに反応して冬物をすぐに送りました。

「おばあちゃんたちも正社員」

その後行った意思決定は、雇用支援として100名の被災者特別雇用枠を5月11日に設けました。経理部長からは、特別雇用で100名採用するということは将来的には80億円の出費になるかもしれないという意見もありました。

しかし、弊社だけ生き残っても仕方がない。

このような概念の下に100名の雇用を決定しました。今年もプラス30名、昨年は新卒の枠もプラスして、全体で合わせて180名の東北雇用支援枠を設定しています。ただ現段階では、若い人の雇用支援ではなく、むしろ50代、60代の比較的高齢な方の雇用支援が主ではないかなと感じています。

そこで、次の支援として「ミシンでお仕事プロジェクト」を立ち上げています。我々はファブレスという工場を持たない会社という戦略をとっていたのですが、今回仙台に工房をつくります。そこで水産業を辞められた高齢者の方々を採用させていただき、若いデザイナーが彼らにしっかりと技術を伝え習熟していただいて、そして約2か月で戦力にしていきたいと思っています。

ここで高齢者の方に4時間、6時間の勤務を選んでいただきながら、体に負担が無い状態で働いていただくのです。「おばあちゃんたちも正社員」という働きがけをしていきたいと思っています。

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