突破力あるリーダーとは(下) 新世代リーダー 石川康晴 クロスカンパニー社長

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さて、クロスカンパニーが重きを置いているCSRの説明をさせていただきます。

まず、「庭園岡山エコクリーナーズ」という清掃活動を岡山でやっています。スタートはクロスカンパニーの職員と駅ビルの販売スタッフ一部が加わり約100名で清掃活動を始めました。本社が所属している町内会の回覧板で掃除のお知らせが来たので参加しました。

その地域には若い人が住んでいるのに、ドブ掃除に来ているのは、ほとんど高齢者です。ドブを掃除すると、落ちているゴミは炭酸飲料のペットボトル、外資系の煙草など、間違いなく若い人が落としたゴミです。なぜ若い人が落としたゴミを高齢者が拾っているのか疑問に感じました。

そこで、一緒に岡山で掃除をしないかと駅ビルの社長にお願いし、当初100人から始めました。現在約4年を迎え1000人の規模まで成長することができました。若い人が掃除をすると近所に住まれている高齢者の方の意識が上がり、毎日ボランティアとして市街地を清掃してくれています。岡山市街地は、ほとんどゴミが無い街になってきました。若い人の動きは、高齢者も動かすのだと勉強になりました。

我々は、黄砂の被害者でなく加害者

そのほか、「ワンツリープロジェクト」という活動も行っています。一つの商品を買うと一本の苗木が付いてくるという内容です。

我々がお客さまから委託を受けてその苗木を植えるのですが、現在約30万平米、東京ドーム約6個分の砂漠に苗木を植える活動をしています。植樹活動をしているのは内モンゴル自治区です。

実は、この地域の黄砂が非常に多く日本に飛んできています。我々は中国の黄砂の被害者だと言う人がほとんどなのですが、その地域に行くとそうではないことに気付かされました。我々は加害者であるということです。この地域を痛めつけているのは我々です。この地域はもともと草原、水も、川もありました。植物も動物もいました。今、なぜ砂漠になったかというと、一番の理由は放牧です。

日本の安いディスカウント居酒屋、食べ放題のお店は、安い牛肉を調達したい、安い羊を調達したいということでこの内モンゴル自治区に発注しました。彼らはとうもろこしや大豆を牛や羊に食べさせるだけの所得はありません。いわゆる家畜として動物を飼う所得が無いのです。ですから放牧をします。牛や羊が木をかじり、植物を全部食べてしまいます。そして、木が倒れます。我々がおいしいものを安く食べたいがために、この地域は犠牲になっています。

被害者ではなくて加害者という意識で、この地域が元の草原に戻るまで、クロスカンパニーはCSR活動を続けていこうと決めています。活動を始めてから、少しだけ緑が増えてきています。今年の9月もクロスカンパニー緑化隊が約40名、植樹に行く予定です。

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