貸借対照表から企業の安全性を分析しよう 会計知識の初歩【case study日産自動車】

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指標と合わせて「優先順位」も知っておこう

「自己資本比率」「流動比率」「当座比率」「手元流動性」の4つの指標について説明してきましたが、さらに、企業の安全性を見るうえでの優先順位を知っておくことが大切です。

最も重要なのは手元流動性

 

第一に優先すべきなのは「手元流動性」です。しつこいほど繰り返しますが、企業は流動負債を返済できなくなると倒産します。その返済のためのお金がいくらあるのかを端的に表しているのが「手元流動性」なのです。

景気が急速に悪化した場合や経営上大きな問題が起こった場合、自社でコントロールできる資金(=手元流動性)をいくら確保できるかが会社の命運を握ります。ですから、この指標が最も重要なのです。

ここで一定以上の手元流動性が確保できているとわかった場合、「当座比率」→「流動比率」→「自己資本比率」の順に安全性を確認していきます。短期的な安全性を確保することが第一ですからね。

このように、貸借対照表から企業の安全性を分析するためにチェックすべき指標と合わせて、その優先順位にも注意する必要があるのです。
 

小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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