トラウマといえば、実は、私もあるトラウマを持っていました。それは音痴であるというトラウマです。私は、42歳まで歌を唄うことが全くダメで、歌に対して否定的に捉えていますから、当然カラオケなど行ったこともない、そういう人間でした。
トラウマは放って置くと長く続いてしまう
なぜこのようになってしまったと思いますか?それは、7歳の時に、親戚のおじさんから、「お前は音痴だな」と言われたことにあったのです。今でもそのときの周りの雰囲気、おじさんの声のトーン、顔の表情も鮮明に覚えているのですから、おそろしいものですね。それ以来、「私は音痴だ→ 歌は絶対唄わない」と決め込み、学校の音楽の授業で歌を皆の前で歌うことはそれこそ地獄でした。
しかし、大人になってからある合唱団に入ったことがきっかけで、その“トラウマ”が消えたのです。歌が嫌いなのに、なぜ入ったかといえば、「教育を主業にしている以上、やはり音楽教育というものも知らなければならない。そのためには自ら実践だ」と考えたからです。本当に、勇気を振り絞って入りました。歌の先生はプロの先生です。そのプロの先生から、はじめに私は何と言われたと思いますか?
「え、音痴じゃないよ。ちゃんと音程、取れてますよ」
さすがに歌がうまいとは言われませんでしたが、そのとき知ったのです。私は音痴ではなく「音痴であると思い込んでいただけ」だということを。
このような現象は日常あちこちで何気なく起こっていることでしょう。私の場合はこのように、たまたま変わったのですが、では、「勉強=難しい、面倒、つまらない、嫌なこと、強制されるもの」と思っていらっしゃる親御さんは、どうすればいいのでしょうか。勉強して自分が好きになればいいのでしょうか。ここからが重要なところです。
それは「親自身が考え方を変える」ということです。
「親の学歴は子どもには本来影響しないと考える」ことなのです。しかし実際は、影響していることが多いですね。これまでの経験上、学歴が高い親は勉強に対して肯定的に捉えており、そうでない親は否定的に捉えていることが多い、と感じます。
学歴が高くない親の場合、自分の子どもには勉強ぐらいできて欲しいと思い、一生懸命“強制的”にやらせようとするが、「自分は学歴がない=勉強できない」と思い込んでいるため、その劣等感が子どもの教育でちぐはぐさを生むことがあるのです。
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