昔より今の女性のほうが「不幸」なのはなぜ? 「ヤバすぎる経済学」が教える意外な理由

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この結果は、外で働いている女の人たちにも、家で主婦をしている女の人たちにも成り立つ。結婚していようが独身だろうが、教育水準が高かろうが低かろうが関係ない。歳のいった女の人のほうが幸せ度は低くなっている。18歳から29歳の女の人だと、それほどひどい結果にはなってないようだ。子どものいる女の人はいない女の人よりも結果が悪い。目につく例外はただひとつ、黒人の女の人たちで、彼女たちは30年前に比べて今のほうが幸せだ。

なんでそんなことになっているのか、いろんな説明がありうる。ぼくが思う理由を並べると次のとおり。スティーヴンソンとウォルファースが論文で書いていた理由とはいろいろ違っている。

昔の方が幸せな未来が見えた?それとも…

1:女の人の幸せ度は1970年代には特定の理由で不自然に高くなっていた。つまり、フェミニスト運動と、その結果生まれた先行きへの期待感だ。たしかに、過去何十年かで女の人たちを取り巻く状況はよくなったけれど、そんな変化は思っていたよりもずっとゆっくりとしか進んでこなかったのかもしれない。だから、当時の大きな期待からすると、今はがっかりな状況なのかもしれない。

2:35年の間に、女の人たちの人生は男の人たちの人生に近づいたのかもしれない。歴史的に見て、男性は女性よりも幸せ度が低い。だから、ずっと男たちを不幸せにしてきた職場が、今では女の人たちも同じように不幸せにしていても不思議じゃないだろう。

3:昔も女の人たちは不幸せだったのだけれど、当時は社会からものすごいプレッシャーがかかっていて、彼女たちは幸せなフリをさせられていたのかもしれない。今では、彼女たちが人生に不満なときはそんな思いを吐き出すのを、社会が認めるようになったということだ。

4:3つ目ともかかわることだが、自己申告の幸せ度なんて他の要因にどうしようもなくまみれているから、そもそもあんなデータは完全に無意味だ。こんなこと書いたら、最近どんどん増えている幸せ度の研究者の軍団が怒り狂うんだろうけど、でも、そう示すけっこういい証拠(マリアンヌ・ベルトランとセンディル・ムレイナサンの論文〔リンク先はPDFファイル〕なんかがそう)があって、幸せかどうか本人に宣言させるのは、幸せかどうかを判定する指標としてはまだまだだと示している。

スティーヴンソンとウォルファースは、一番もっともらしい説明がどれか、自分たちの立ち位置をはっきりさせてはいない。どれだか推測しろと言われたら、ぼくは3つ目と4つ目が一番ありそうな話だと言う。

ときに、友だちの女の人になんでだと思う? と聞いてみたんだが、彼女、気分が不幸せすぎて答えてくれなかった。

スティーヴン・D・レヴィット シカゴ大学経済学部教授

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Steven D. Levitt

40歳未満で最も影響力のあるアメリカの経済学者に贈られるジョン・ベイツ・クラーク・メダル受賞。ヤバい経済学流の考え方を企業や慈善活動に応用するグレイテスト・グッドの創設者。

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スティーヴン・J・ダブナー 作家・ジャーナリスト

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Steven J. Dubner

作家として表彰を受け、ジャーナリストとしても活動し、ラジオやテレビに出演する。最初の職業――あと一歩でロックスター――を辞め、物書きになる。以来、コロンビア大学で国語を教え、『ニューヨーク・タイムズ』紙で働き、『ヤバい経済学』シリーズ以外にも著書がある。

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