一方で米国の場合は、傷んでいるのは家計のバランスシートです。住宅バブルが崩壊する以前の米国では、住宅価格の値上がり分を担保に借金してモノを買うという「ホームエクイティ・ローン」が消費を大きく上振れさせていました。
ところが、それまでの流れが逆回転し住宅価格が下落に転じると、一気に家計のバランスシートが悪化し、家計は借金返済を優先せざるを得ない状況に陥りました。 現在、米国では住宅を売り払っても借金が返せない家計が1100万世帯もあります。これは、住宅ローンを借りている家計の4分の1にも及びます。住宅価格が上がらない限り、家計のバランスシートを改善される方法は地道な「節約」を続けるしかありません。
デフレ型企業躍進は米国が日本化している兆候
可処分所得に対する債務の比率も、07年の130%から10年には115%まで下がりましたが、過去の平均の75%まで下がるには、少なくともあと5年はかかると考えるのが自然です。そうなると、家計は借金返済を優先し、消費は持続的に回復しないという悪い連鎖が続くことになります。
ここ数年では、激安店である「1ドルショップ」の繁盛ぶりが、家計の節約志向の高まりと将来に対する不安が根深いことを示していると言えます。1ドルショップ大手のダラー・ジェネラルやダラー・ツリーの既存店売上高は、リーマンショック以降、右肩上がりで伸びています。このようなデフレを促す企業の躍進は、消費大国である米国が「日本化」している兆候であるとも見て取れるでしょう。
各種調査によれば、米国における11年の平均的な家計支出は1日60ドルあまりです。リーマンショックが起こる前の08年には、1日100ドル近かったわけですから、バブル崩壊によって、いかに家計の消費が落ち込んでいるかがお分かりいただけるでしょう。
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