トヨタ「オーリス」今さらHVを追加した理由 実は4代目プリウスのDNAが宿っている
そもそも2代目の現行オーリスは、初代よりも全高を55mm、着座位置を40mm下げた「低重心パッケージ」を採用。プラットフォームは従来モデルから継承する新MCプラットフォームだが、ブレース追加やスポット打点追加などのボディ剛性アップにリア・ダブルウィッシュボーン式サスペンション(1.5Lモデルはトーションビーム)を使うなど、豊田章男社長が常日頃語っている「いいクルマづくり」の技術やノウハウが、他のモデルよりもいち早く投入されていた。
実は最新の技術などがいち早く投入されていた
2015年にトヨタが初めて市販車に1.2L直噴ターボエンジン「8NR-FTS」を積んだのもオーリス。この新型エンジンに全面的に切り替えればトヨタ初のダウンサイジングターボとしての認知度が高まったかもしれないが、従来の1.5L/1.8Lエンジンをそのまま残すという保守的な販売戦略を採ったため、その存在すら知られていない。今年のジュネーブショーで発表された新クロスオーバー「C-HR」に搭載されるのだが、恐らく多くの人はこのC-HRによって、このエンジンの存在を知ることになるだろう。
今回、ハイブリッド仕様が追加されたオーリスは日本で売れるだろうか。4年目の再出発ということもあり、「トヨタが生んだ欧州車」というキャッチコピーを掲げ、TV-CMはプロサッカー選手の本田圭祐選手(ACミラン所属)を起用するなど、今までとはちょっと違う「攻め」の姿勢を感じる。
走りのフィーリングはプリウスよりもスポーティキャラでハイブリッドの重量増を感じさせない切れ味のいい走りである。攻め込んでいくと若干リアが頼りない印象を受ける時もあるが、高速の直進安定性や快適性とのバランスは、「小さなGT」にふさわしい。燃費は30.4km/Lと数値的には新旧プリウスに負けているが、リアルワールドでは数値ほどの差はないと思っている。
むしろ、後席の居住性やラゲッジなどはCセグメントハッチに準じているため、空力抵抗低減のために居住性が若干犠牲になってしまうプリウスよりも実用性も高め。エクステリアはガソリン車とエンブレム程度の差、インテリアはシフト周りとメーター周りが専用になる程度で、あまりハイブリッドを主張しない控えめな意匠も、アンチハイブリッドにも受け入れやすいかも!? 見た目も最新のトヨタフェイスを最初に採用したモデルだけあり、全体のプロポーションとのバランスもよく古さもあまり感じない。
これまでオーリス購入客の7~8割は廉価な1.5Lモデルを選んできた。それもオーリスを指名して買うユーザーは少なく、コンパクトカー「ヴィッツ」を見に来た人が「大きなヴィッツ」として選ぶケースがほとんどだと販売現場から聞く。
今回から従来の「ネッツ店」に加え「トヨペット店」でも扱いをスタートした。トヨペット店はネッツ店よりも高額モデルが多いものの、2006~2012年まで販売されていた「ブレイド/ブレイドマスター」の実質的な後継と考えれば、プリウスより若干高めの価格設定もハマるかもしれない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら