自民・船田氏「憲法改正、安倍首相とは一線」

改正のキーマンが「あの事件」も大胆に語った

有馬:6月4日の衆議院憲法審査会の参考人質疑で憲法学者すべてが安全保障関連法案について違憲と発言したことは、安倍首相には大誤算でした。しかしこの事件で、解釈改憲による実質的な憲法改正を目指してきた安倍首相は、結局再び「真正面からの憲法改正をしなければならない」と悟ったのではないかと私は思います。これはある意味では船田さんの功績ではないですか(笑)?

安倍首相も国民も「憲法の足かせ」を理解した

船田:「憲法解釈でできるものは限界があり、結局は憲法そのものを変えないと安定した状況にならない」というのは、安倍総理も私も同じ気持ちです。ある意味で「引き金」を早めに引いてしまい、混乱を招いたことは反省していますが、ただ平和安全法の議論をしていく中では、当然のことながら、どこかの時点で、現行憲法とどうかかわるかの議論は避けられなかったはずです。

有馬:国民も、憲法改正の議論では、どこへ連れて行かれるのかがわからず、かなり不安だったと思いますが、この「6月4日事件」をきっかけに、ある意味でほっとしたのではないでしょうか。

船田:安倍総理も国民も、憲法の足かせがあることを改めて理解されることになりました。その意味で、憲法の存在を認識させたということについては、「6月4日事件」の効果はあったのではないかと思います。

集団的自衛権行使は「地球の裏側」までは必要ない

「集団的自衛権行使は限定的に。『地球の裏側まで』は必要ないと思う」

有馬:憲法9条についてお聞きします。現行憲法の読み方の組み合わせひとつとっても14通りあるなどといわれているわけですが、草案の「第九条の二」では国防軍の保持がうたわれています。国民の目線で言えば、安保法案成立で「結局は、自衛隊が地球の裏側に行けるようになった」と考えられています。

今後、憲法改正の議論が行われるとすれば、改めて「新9条」では、明確な文言によって自衛隊の位置づけや武力行使の範囲などについて、整理・歯止めを行うべきではありませんか?

船田:おっしゃるとおり、整理や歯止めをすることが必要です。現行の憲法9条の解釈は長年の積み上げがあり、手あかもついていて、その中で新たな解釈をしようとすると、誤解も生まれかねません。戦後の日本につきまとってきた大きな課題を解決するためにも、条文を新しくする必要があります。そして条文に素直に、できれば小学生でも自衛隊の存在や一部の集団的自衛権行使については憲法で認められているということをわかるようにするのが、将来の日本にとって大事だと思います。

ただし「※武力行使の新3原則」に従って、解釈の拡大をしてきたのが平和安全法ですが、個別自衛権はフルサイズで認める形で憲法改正をしていくべきとしても、集団的自衛権については議論が分かれるところです。私は「地球の裏側」まで自衛隊が駆けつけられるようにするのは行き過ぎだと考えます。

昨秋の国会でも参議院の付帯決議で3原則のうち(1)の存立危機事態の条項を使う際にも、例外なく国会の事前承認を必要とするなどの修正が加えられましたが、集団的自衛権を憲法に書き加えるにしても、限定的な適用の方向で条文を改正しなくてはいけないと考えます。

(※武力行使の新3原則:集団的自衛権を使う際の前提条件として2014年7月に政府が策定。(1)わが国、またはわが国と密接な関係にある他国に対し武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある(2)他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる、の3点)

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