政策面では、どうか。
金正恩は政権を担って1年後の2013年3月に経済改革と核開発の両方を進める「並進路線」を打ち出した。核開発のほうは過激になって国際社会と鋭く対立し、ほとんど孤立しているが、それでも北朝鮮は第5回目の核実験を実施するのではないかと警戒されている。党大会はそこまで具体的なことまで立ち入らないだろうが、「核開発をさらに進める」という基本的な方針を承認するはずだ。
一方、経済政策についても、いま進めている経済改革を重視する路線を承認することになるだろう。
この関連で注目されるのは、核実験と「人工衛星」と称する弾道ミサイルの発射実験のため厳しい制裁措置を科せられたことである。この制裁は北朝鮮経済にとって重大な問題となっているはずだが、北朝鮮は「苦難の行軍」式の耐乏で乗り切ろうとしている。
「苦難の行軍」は過去3回あり、非常な努力で国家崩壊の危機を克服した。たとえば、第3回目は、冷戦の終了からまだ日も浅い1994年に金日成が急死し、翌年大洪水が発生し未曾有の経済困難に見舞われたときのことだ。
朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』3月28日付の社説は「革命の道は遠く険しい。草の根を食(は)まねばならない苦難の行軍を再び行うこともありうる」と述べている。
実際、平壌市民は毎月1キロずつ食料を徴収されるそうだ。「70日戦闘」と称する労働強化や上納金の供出が求められているとも言われている。
核兵器開発だけは絶対に放棄しない
要するに、北朝鮮は、国連で決定された制裁措置が国民生活に重くのしかかってくることを自覚しつつも、核やミサイルの開発を止めることはしないと言っているのだ。韓国最大の新聞「朝鮮日報』(3月30日付)は、「たとえ多くの住民を苦難の行軍当時と同じく餓死させるようなことがあったとしても、核兵器開発だけは絶対に放棄しないことをあらかじめ宣言したようなものだ」と指摘している。この通りであろう。
金正恩の下で行われた人事も政策も、他の国では想像を絶する極端なことを含んでいるが、今回の労働党大会はそれらをすべて承認しようとしている。国際社会の基準では認められないことが承認されようとしているのであり、国際社会にとっては危険なことであるのは間違いないが、今後北朝鮮に対して正しく対応していくためにも北朝鮮を他の国と平板に比較するだけでなく、北朝鮮としての見方を理解しておく必要がある。
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