大事な仕事の話題が広がってきた場面で、席を立つ部下もいるのです。仕事の会食とは言え、最初から仕事の話は出来ません。雑談から始まって、苦労してさりげなく会話を仕事のほうに誘導していきます。
ここから「提案に持って行けたら」と思っていたとしても、相手にはその気持ちを見せてはいけません。相手に「仕事を提案しようと思っている」と思われた途端に、その会はしらけてしまうのです。最初は、あくまでもさりげなく仕事の話をします。そして提案に持って行けるのは(とは言えそのときに具体的な提案をするわけではありません)ちょっとした瞬間だけなのです。その瞬間を逃すわけにはいきません。
それなのに、ここだというタイミングに「ちょっと失礼します」と言って、部下にトイレに立たれると本当にがっかりします。
取引先との食事は貴重な機会と心得る
男性の場合「食事をしている時に仕事の話をするのは無粋だ、向こうもしたくないに決まっている」という人もけっこういます。バブルのころ、経費がふんだんに使えた時代は、それこそ毎夜「飲めや歌えや」の大騒ぎ。仕事の話はしないで「楽しかった」だけで終わることがほとんどでした。
今は時代が違います。使える経費も限られているので、取引先との食事会もいつもできるわけではありません。それだけ貴重な会なので、ただ「飲んで食べて」で終わらせたくはありません。もちろん日頃仕事の話しかしていない相手と、たまにはリラックスして楽しい「懇親の場」を持つことも大事です。けれどもこういう会だからこそ、取引先の本音に踏み込み、今の仕事の悩みを聞き出して、提案に持っていく、ということができるのです。
取引先の方も実は、仕事の話をしたいと思っている人もいます。現状を悩んでいて相談してみたい、と思っているのかもしれません。最初は仕事の話をするつもりではなかったけれど、なんとなく話の流れで「ちょっと仕事のことを話してみたいな」と思うこともあるのです。
それなのに仕事の話を切り出したタイミングに、相手に席を立たれてしまったら話す気も失せてしまいます。せっかく話そうと思っていても「まあいいや」となるかもしれません。何よりも問題なのは、同席した上司に、仕事の緊張感が一切伝わらないことです。本当はいろいろ気遣って緊張していたとしても、上司には「この場にはただ飲みに来ただけなんじゃないか」と思われてしまうのです。
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